AIを活用して「考える力」を育てる  —— 対話する技術

ChatGPT、Gemini、Claudeといった生成AIを使っていると、それぞれの個性に面白みを感じる一方で、その論理展開の精密さには驚かされる。人間を凌駕するほどの論理性を備えたこれらのツールが、極めて有用であることは疑いようもない。

しかし、その一方で危急の課題もある。
AIはこちらの問いかけの先を行く回答をスムーズに提示するため、油断するといつの間にかAIが示す方向へと、こちらの思考が引き寄せられてしまいそうになるのだ。

では、私たちはどのようにして自らの思考の主体性を保ちながら、AIの論理力を利用すればいいのか。少々矛盾するようだが、その術(すべ)をGeminiに問いかけてみた。

AIの論理の展開力は、普通の人間のレベルを超えているように思います。一般の人々が、どのように利用すれば、自分の思考を保ちながら、AIの論理展開力を利用できるでしょうか。

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学ぶこと 考えること 井筒俊彦「語学開眼」

井筒俊彦の「語学開眼」という子供時代の思い出を語るエセーは、実際の教育現場では「学ぶ」ことから「考える」ことにつなげるのいかに難しいことかを、分かりやすい言葉で教えてくれる。

それは、井筒が中学校二年生の時のエピソード。

今でもよく憶(おも)い出す。中学2年生、私は劣等生だった。世の中に勉強ほど嫌いなものはない。学問だとか学者だとか、考えただけでもぞっとする。特に英語が嫌いだった。(井筒俊彦「語学開眼」『読むと書く』所収)

教室の中では英文法の授業の最中で、大学出たての若い先生が熱心に何やら喋(しゃべ)ていたけれど、その言葉は私の耳には入ってはいなかった。ふと、我にかえった。「イヅツ」「イヅツッ!」と先生の声が呼んでいた。「どこを見ている。さ、訳してごらん。」
見上げると黒板に、 There is an apple on the table.と書いてある。なぁんだ、これくらいなら僕にだって。
「テーブルの上にリンゴがあります。」
「うん、それじゃ、これは」と言って先生は、There are apples on the table.と書いた。
「テーブルの上にリンゴがあります。」

正解? 不正解?

an appleに続けてapplesと書いた先生の意図は、生徒に単数と複数の区別を教えることにある。
井筒少年の訳では、その区別ができていない。試験であればバツがつく。

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