ラマルティーヌ「湖」Lamartine « Le Lac » ロマン主義的抒情 

1820年に発表されたラマルティーヌの「湖」« Le Lac »は、ロマン主義的抒情詩の典型的な作品。この詩を読むと、フランス・ロマン主義の本質を知ることができる。

詩の内容は、失われた幸福を懐かしみ、それが失われたことを嘆くというもの。
昨年、愛する人と二人で幸福な時を過ごした。その湖に今年は一人でやってきた。時は否応なく過ぎ、幸福な時は失われてしまった。その悲しみを抒情的に歌う詩である。

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ロンサール 「愛しい人よ、さあ、バラを見に行こう」Ronsard « Mignonne, allons voir si la rose » 今をつかめ Carpe Diem

16世紀を代表する詩人ピエール・ド・ロンサールの詩「愛しい人よ、さあ、バラを見に行こう。」« Mignonne, allons voir si la rose »は、フランス詩の中で最も有名なものの一つ。

その恋愛詩のベースになるのは、「時間が過ぎ去り、戻ってこないこと」というテーマである。そして、過ぎゆく「今」という時を捉えよという、Carpe Diem(今をつかめ)の思想が美しく表現されている。

また、ロンサールの詩は、シャンソンでもあり、メロディーを付けて歌われた。その音楽性が言葉の意味と融合し、詩の美しさを作りだしている。まずは、古い時代のリュートにのった歌声に耳を傾けてみよう。

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アポリネール 「ミラボー橋」の美を探る Guillaume Apollinaire « Le Pont Mirabeau »

ギヨーム・アポリネールの「ミラボー橋」« Le Pont Mirabeau »(1913)は、作者であるアポリネールと恋人のマリー・ローランサンの恋愛感情が消え去っていく哀しみを、セーヌ河の流れに例えて歌った恋愛詩として、今でもよく知られている。

この詩のベースにあるのは、人間の思いにもかかわらず、時は流れ去ってしまい、二度と戻って来ないというテーマ。(La fuite du temps)

そのテーマの中で、16世紀のロンサールはCarpe Diem(今をつかめ)という意識から美を生みだし、19世紀のラマルティーヌは過去に対するメランコリックなあこがれから美を生み出した。
では、20世紀初頭のアポリネールは、どのように美を作り出したのだろうか。

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