ボードレール 「旅」 Baudelaire « Le Voyage » 新しい詩への旅立ち その6

第7部では、旅立つことの意義が、再び問い直される。

VII

Amer savoir, celui qu’on tire du voyage !
Le monde, monotone et petit, aujourd’hui,
Hier, demain, toujours, nous fait voir notre image :
Une oasis d’horreur dans un désert d’ennui !

苦々しい知識が、旅から引き出される!
今日、世界は、単調で、小さい。
昨日も、明日も、常に、私たちに見せるのは、私たち自身の姿。
倦怠の砂漠の中の、ぞっとするオアシス!

Salvator Dali, Autoportrait au miroir avec Gala

旅から引き出される結論は、世界が単調で小さいということ。
その世界は、現在も、過去も、未来も変わることがなく、そして、それは旅人自身の姿の反映である。

そうした辛い事実を知ることは、自己イメージを嫌悪(horreur)と倦怠(ennui)で満たすことになる。苦々しい知識(amer savoir)。

それでも旅に出なければならないのか? あるいは留まるべきなのか?

Faut-il partir ? rester ? Si tu peux rester, reste ;
Pars, s’il le faut. L’un court, et l’autre se tapit
Pour tromper l’ennemi vigilant et funeste,
Le Temps ! Il est, hélas ! des coureurs sans répit,

旅立つ? 留まる? 留まれるなら、留まれ。
旅立つことが必要なら、旅立て。一人は走り、もう一人はうずくまる、
そして、注意深く見張る、不吉な敵を欺こうとする、
それは「時間」! ああ、休むことなく走る走者たちがいる。

詩人は、旅立ちを一人一人の判断に委ねる。旅立つ人もいれば、留まる人もいる。
しかし、いずれにせよ、敵を欺くことを望んでいる。

Philippe de Champagne, Vanitas

その敵とは、「時間」。

時間は、人間を、そして世界を注意深く見張り、全てを否応なく消滅させていく。
続く詩節で、時間は評判の悪い戦士と呼ばれ、私たちの背骨に足を乗せる。
「時間」は、破壊し、死を招く、不吉な(funeste)敵なのだ。

Comme le Juif errant et comme les apôtres,
A qui rien ne suffit, ni wagon ni vaisseau,
Pour fuir ce rétiaire infâme : il en est d’autres
Qui savent le tuer sans quitter leur berceau.

さまよえるユダヤ人のようだ、使徒たちのようだ。
彼等には、何一つ十分ではない、馬車も、舟も。
そして、評判の悪い戦士から逃れる。別の走者たちは、
揺り籠を離れず、時間を潰すことを知っている。

ある人々は、時間という悪の戦士から逃れるために、動き回る。
つまり、何かをすることで、時間を忘れようとする。

別の人々は、揺り籠に寝かせられている時からのルーティーンを捨てず、常に同じ轍を走ることで、時間を潰す。

では、私たちはどうするのか?

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