
「アンダーカレント」は、ピアニストのビル・エヴァンスが、ギタリストのジム・ホールとのデュオで演奏したアルバム。
まず特筆すべきは、アルバム・ジャケットの美しさ。
水面の下に浮かぶ女性の姿は、オフェーリアを思わせ、それだけで演奏の素晴らしさを予感させる。
そして、一曲目の”My Funny Valentine”. ピアノとギターのインタープレーが、スローテンポで演奏されることが多い曲を、緊張観がありスリリングな曲へと変える。
インタープレイというのは、演奏者がお互いのプレイを聞き合い、音楽で対話する演奏と考えればいいだろう。
例えば、一人があるフレーズを演奏したら、もう一人がそのフレーズをマネながら、それいいねとか、俺ならこうするねとか、相手に伝えるようなフレーズを続けていく。
“My Funny Valentine”に続く、I Hear a Rhapsody, Dream Gypsy, Romain, Skating in Central Park, Darn That Dreamという5曲も、エヴァンスとジム・ホールが互いの音を聞き、インスピレーションを与え合い、受け合いながら、演奏を続けていく。
アルバム・ジャケットの写真は、Toni Frisellが撮影した”Weeki Wachee spring“。

この写真は、自然に、ジョン・エヴァレット・ミレーの「オフェーリア」を思い出させる。

ピアノとギターのデュオが紡ぐ音楽と絵画のインタープレイ。