バッハの曲はジャズと相性がいい。
だから、室内楽を思わせる端正な演奏が特色のモダン・ジャズ・カルテット(MJQ)を率いていたピアニスト・ジョン・ルイスが、「平均律クラヴィーア曲集」を取り上げたのは、自然なことかもしれない。
プレリュードの部分は、ルイスのピアノソロで、原曲のまま弾かれている。
それに続くフーガの部分は編曲され、ピアノ(John Lewis)、ヴィオラ(Lois Martin)、ギター(Howard Collins)、ヴァイオリン(Joel Lester)、ベース(Marc Johnson)の5重奏で演奏される。
どちらもいいけれど、面白いのはやはりフーガの演奏。原曲のイメージを残しながら、自由に変化していくところは、いかにもジャズらしい。そこではステキなメロディーが生み出され、心地よい音楽が聞き終わった後まで頭の中で続く。いつ聞いても気持ちがいいし、どこから聞き始めても違和感がない。
バッハもいいし、ジャズもいいよねって、誰にも思わせてくれる演奏。