ボルケーゼ美術館の彫刻 アポロンとダフネ プロセルピナの略奪

ローマにあるボルケーゼ美術館には素晴らし彫刻が並んでいるが、なかでも「アポロンとダフネ」と「プロセルピナの略奪」には息を飲む美しさがある。
二つの作品とも、イタリア・バロックを代表するジャン・ロレンツォ・ベルニーニ(1598−1680)の作品。
バロックらしい躍動感と細部の繊細さが見事に調和している。

Bernini Apollon et Daphné

「アポロンとダフネ」では、アポロンに愛されたために、追い続けられ、とうとう捉えられそうになったダフネが、月桂樹に姿を変える、その瞬間を捉えている。

アポロンの穏やかな表情と、今まさに叫び声を挙げているダフネの顔のコントラストはどうだろう!

大理石が生命を宿しているように感じられるのは、「プロセルピナの略奪」でも同じこと。
冥界の王プルートーが、大地の女神ケレースの娘プロセルピナを誘拐し、大地の奥へと連れ去ろうとする場面。

Bernini, Le Rapt de Proserpine

プルートーの顔はアポロンとは異なり、不気味な笑いを浮かべている。
それと対応するかのように、プロセルピナの顔はダフネ以上に苦悶に歪んでいる。

この力強い像を近くから見ると、肌に食い込む手の跡が生々しい。
大理石でありながら、本物の人間の肌を思わせる。

そして、プロセルピナの足。
恐怖のために緊張し、指の先まで力を入れた感じが、見事に表現されている。

展示室の天井からは、怒ったような顔の天使が見物客を見下ろしている。

バロックの躍動感は、ルネサンス彫刻の調和と静謐さと対比して見ると、ますますはっきりと感じられる。

Michel-Ange, Pièta

バチカンのサン・ピエトロ大聖堂の入り口付近に置かれた、ミケランジェロの「ピエタ」。
十字架から降ろされたキリストと、彼を抱くマリアの姿は、調和、抑制、静謐など、ルネサンス的美の極みともいえる。

私は写真で見ているだけの時、横たわったキリストの姿は、マニエリスム的引き延ばし、あるいはバロック的な歪みを表現しているのかと考えていた。
しかし、実際にサン・ピエトロ大聖堂で見た「ピエタ」のキリストは、マリアと同様に穏やかで、不動だと感じた。

ボルケーゼ美術館に置かれたベルリーニの彫刻の「動」と、バチカンにあるミケランジェロの像の「静」の対照を体感することは、ローマを訪れる時の大きな楽しみになる。

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