「恋に落ちる時(When I fall in love)」は、1952年、映画「One Minute to Zero」のためにヴィクター・ヤングが作曲し、エドワード・ヘイマンが詞を付けた曲。
最初にヒットしたのは、同じ年にドリス・デイが歌ったもの。
When I fall in love
It will be forever
Or I’ll never fall in love
In a restless world like this is
Love is ended before it’s begun
And too many moonlight kisses
Seem to cool in the warmth of the sun
When I give my heart
It will be completely
Or I’ll never give my heart
And the moment I can feel that
You feel that way too
Is when I fall in love with you
https://genius.com/Doris-day-when-i-fall-in-love-lyrics
その後、ナット・キング・コールが歌い、ジャズのスタンダードにもなった。彼の歌声は、いつ聞いても、本当に甘い。
When I fall in loveはとてもロマンチックな曲なので、ジャズで取り上げられる時も、大部分の演奏では原曲の雰囲気がそのまま保たれている。その上で、それぞれの演奏者の個性が発揮される。
個人的に一番好きなのは、キース・ジャレットのStill live(1986 at the Philharmonic Hall)の演奏。ただ、youtubeにないので、同じ1986年、東京(at Hitomi Memorial Hall)でのliveで聴いてみよう。
エネルギッシュでありながら、抒情的。キースのピアノ、ゲーリー・ピーコックのベース、ジャック・ディジョネットのドラムス、それぞれが独立しながら、調和している。
マイルス・デイヴィスの1956年の演奏は、リリカルな演奏の極地といえるほど美しい。ミュートを付けたマイルスのトランペットの音色はいつ聞いても胸を打つ。レッド・ガーランドのピアノ、ポール・チェンバースのベース、ィリー・ジョー・ジョーンズのドラムスも素晴らしい。
ビル・エヴァンスのピアノを聞くと、さらにリリカルな美が際立つように感じる。
エヴァンスを現代に移すと、ブラッド・メルドーに至るといえるかもしれない。
オスカー・ピーターソン・トリオにビブラフォンのミルト・ジャクソンが加わった演奏。ピーターソンの指の動きが作り出すピアノの高音の響きがとりわけ美しい。
ベン・ウエブスターのテナー・サックスの響きが素晴らしい演奏。
マーカス・ミラーが中心となった演奏は、ある時点で原曲を離れ、完全なインプロヴィゼーション演奏になる。
ジャズ・ヴォーカルだと、カーメン・マクレー、ジュリー・ロンドン、ヘレン・メリルなど、原曲を大切にしながら、それぞれに個性があり、聞き比べるのが楽しい。
ジャズを離れると、映画「めぐり逢えたらSleepless in Seattle)」の中で、セリーヌ・ディオン とクライヴ・グリフィンによって歌われている。
最後は、イタリアのテノール歌手アンドレア・ボチェッリが、ドイツの女性歌手ヘレーネ・フィッシャーとデュエットで歌ったWhen I fall in love。トランペットはクリス・ボッティ。