
2021年4月9日はシャルル・ボードレールの200歳の誕生日。
1821年4月9日にパリで生まれたボードレールは、1867年8月21日パリで死んだ。しかし、彼の詩は21世紀になってもフランスで最も読まれている詩人でもあり、現在の美意識にも大きな影響を及ぼし続けている。
古典的な美が均整と調和をベースとし、いつの時代に誰が見ても美しいと感じるとしたら、ボードレールが生み出した「モデルニテ」の美は、モードであり、時代とともに変化し、前の時代には醜いものと見なされていたかもしれず、次の時代には時代遅れと感じられるかもしれない。
しかも、モデルニテの美は、それ自体を説明する原理を含んでいる。自己表現しながら、自己批評する。完成品であると同時に、パフォーマンスでもある。
現在ネット上で大量に流されている映像は、しばらく前にはとても美の基準には入らないものだった。むしろ、醜いと見なされたもの。それが、それまでの美とは違う新たな美として自己主張を始め、美として受け入れられる。
そうした美の源流にあるのが、ボードレールの美学だといえる。
2021年4月9日のQuotidienでは、アンブル・シャリュモーのプレゼンテーションがあり、次にフランスの文学研究者として一般にもよく知られた学者アントワーヌ・コンパニョンのインタヴューが放送された。
アントワーヌ・コンパニョンのインタヴュー。
正直に言えば、コレージュ・ド・フランスの教授が話す内容としてはかなり乏しい。せめて、モデルニテの説明とボードレールの反社会性については、より丁寧な説明をしてほしかった。
ボードレールについては、クロード・ピショワ(1925-2004)がなんといっても最高の研究者。
ピショワが1869年に行った講演「詩はどのように生まれたのか?(comment est née la poésie ?)」の記録が残されている。約1時間ほどだが、彼の肉声を聞くことができるのは、貴重な機会だ。