戦争の惨禍  ロシア ウクライナ 日本

ロシアがウクライナに侵攻した戦争の被害を映し出す映像を目にする度に、胸が引き裂かれそうになる。
悲しいことに、戦争が続けば続くほど被害は大きくなり、死者の数も多くなる。ウクライナ軍や市民の無事を願い、一刻も早く戦争が終わって欲しいと思う。
それがロシア兵のためでも、ロシア国民のためでもある。

そんな時、ふと、日本が空襲にあった時の映像を思い出した。
Wikipediaには、空襲の被害が次のようにまとめられている。

空襲は1945年(昭和20年)8月15日の終戦当日まで続き、全国(内地)で200以上の都市が被災、被災人口は970万人に及んだ。被災面積は約1億9,100万坪(約6万4,000ヘクタール)で、内地全戸数の約2割にあたる約223万戸が被災した。その他、多くの国宝・重要文化財が焼失した。米国戦略爆撃調査団は30万人以上の死者、1,500万人が家を失ったとしている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/日本本土空襲

最初の空爆は1944年(昭和19年)6月に行われたというから、これだけの甚大な被害が出る間、日本は1年2ヶ月の間、軍事施設だけではなく、市街地に爆撃を受け続けていたことになる。
430の都市が爆撃され、東京大空襲や沖縄戦等々を経て、広島・長崎の原爆投下まで、日本政府は徹底抗戦を主張した。

アメリカ対日本の戦争をロシア対ウクライナと比較するのは意味がないが、しかし、戦争が長引けば長引くほど被害が大きくなることは同じである

2022年3月1日13時TF1の13時のニュースに出ていた軍事専門家の意見では、ロシア軍がキエフを攻撃するまでに時間をかけているのは、その間に市民が脱出することを目的にしているからだと言う。
そして、現地からは、実際に多くの人々が逃げ出していると報告がなされていた。
https://www.tf1.fr/tf1/jt-13h/videos/le-13-heures-du-1-mars-2022-22751603.html
(コメントは開始から10分後)

どんなに欧米や日本が制裁を強めても、プーチン大統領が軍隊を撤退することは望めないだろう。
とすると、首都キエフはロシア軍に包囲され、大規模な攻撃はなくても、散発的な攻撃は行われ、とりわけ食料不足に陥らせられ、ゼレンスキー大統領は最終的には降伏か総攻撃かの選択を迫られることになるのではないかと予想される。

もちろん、素人の予想でしかないので、最後は正義が勝つと信じ、ウクライナ側が戦い抜くことを支持する多くの人々の声の方が正しいかもしれない。
ただ、太平洋戦争におけるアメリカの空爆を思い出すと、なぜ政府や軍部がもっと早く降伏を決断しなかったのだろうかと考えてしまう。そうすれば、970万人が被災し、あれほどの都市の破壊はなかったはずだ。

とすると、ウクライナのゼレンスキー大統領も、敗戦が決定する前にロシアの条件を呑み、停戦合意をすることで、死者の数、都市の破壊を少しでも少なくできるのではないか?

次に書くことも素人の予想でしかないが、今回のプーチンの戦争は、彼の終わりの始めとしか思えない。
2年後の大統領選挙で当選したとしても、その後も長い間「oligarchy(寡頭制)」を続け、権力を維持していくことはできないのではないか。経済的にたとえ中国との関係を強化しても、ロシア国民の生活は悪化するだろう。その時には反プーチンの動きが活発化し、寡頭制を維持できる後継者がプーチンに取って代わるかもしれないし、そうした人間が出てこなければ、より民主的な政権ができるかもしれない。
ウクライナに傀儡政権を作ったとしても、この戦争を経たウクライナ国民がその政権を支持するとは思えない。
従って、プーチン体制がそれほど長く続くことはないだろう。

バイアスがかかってしまうと、どうしても、その色でしか物が見えなくなる。
現在のプーチンをめぐる様々な状況については、2022年3月1日のQuotidienで解説をしていた3人の学者やジャーナリストのコメントに説得力があった。
https://www.tf1.fr/tmc/quotidien-avec-yann-barthes/videos/invites-le-point-sur-la-guerre-en-ukraine-avec-lukas-aubin-julien-theron-et-tatiana-kastoueva-jean-47476214.html

また、これも個人的な感想になるが、2022年3月2日に行われたエマニュエル・マクロン大統領の談話は、過激な言葉を使うことなく、理性的にプーチン大統領を非難し、国民へのメッセージを伝えるものになっていたように思われる。



2022年3月6日追記

毎日人が死んでいる。そしてロシアの残忍さが映像で流れ、戦争反対が叫ばれている。
それは大変に重要な戦争反対の動きで、これからも続けていく必要がある。

しかし、問題は、制裁をしても、戦争反対を叫んでも、プーチン大統領は武力で制圧するまで、絶対に攻撃を止めないということ。というのも、止めた時点で彼は失脚することが明かだから。
そう考えると、戦争の被害を少しでも小さくし、死者を減らすためには、ウクライナの大統領がどんな条件でも呑んで、戦争を終わらせるしか道はない。続ければ続けるほど死者が出る。

今の日本の世論の中で、ウクライナがどんな条件でも停戦を受け入れろなどと言ったら、大炎上し、袋だたきに合うだろう。
しかし、違う意見を許さないのは、第二次世界大戦の時と同じだし、ロシアの国内で戦争反対を叫ぶ人たちを弾圧するのと同じこと。
別の視点からも見て、状況を分析し、読み取る。こうした作業はなかなか実行されない。

ロシアでは、子ども向けに、マンガで、ウクライナに攻撃されて可哀想な人々をロシア軍が助けるという映像が流されているという。
それを見た子どもや大人は、ロシアが正しいという先入観をベースに物事を判断するので、ウクライナ、欧米が流す情報はフェイクだと判断するだろう。
それと同じことが日本や欧米で起こっていると考えると、一方的な見方の問題が見えてくる。

皮肉な見方と非難されるかもしれないが、上のように考えると、なぜアメリカを中心とした勢力が、ウクライナはよく抵抗しているとか、最後はなんとかなるかもしれないなどという情報を流しているのか、見えてこないだろうか。
残忍な攻撃が続くほどロシアのイメージが悪くなり、国際的な権威が失墜する。実際、NATOに入りたいという国がすでに出てきている事実がある。
とすると、今現在も命を落としているウクライナの人々のことよりも、国際政治を有利に導く結果になっているということになる。

1968年、チェコスロバキアで起こった「プラハの春」が、ソ連軍によって鎮圧された。その時は絶望的な状況に陥ったが、しかし現在では、チェコもスロバキアもNATOの加盟国になっている。
短期的な視点ではなく、長期的視点に立てば、ウクライナも同様の過程をたどることになる。そう期待したい。

戦争の惨禍  ロシア ウクライナ 日本」への4件のフィードバック

  1. Suki 2022-03-03 / 21:43

    Bonjour, 

    戦争の被害の映像に 「胸が引き裂かれそうになる」というお気持ち分かります。私の方は、週末にプーチン大統領の暴走にどうにか歯止めが効かないものか、と焦ったり、核戦争にでもなったら、と想像すると、本当にどうしようもなく心が沈んでしまいました。2日のマクロン大統領の演説をラジオでライブで聴きましたが、Covidの初期の頃の”Nous somme en guerre”のスタイルとは違い、(戦争反対の市民も多くいる)「ロシア」との戦争ではない、とあくまでも「プーチン大統領が」起こした戦争だ、との内容でしたね。

    西側のリーダー達が的確な情報をアドバイスに基づいて、正しい判断(何が「正しい」かは難しいですが)をとってほしいと思います。ウクライナの人達に早く笑顔が戻りますように!

    Suki Maw, Londres

    いいね: 1人

    • hiibou 2022-03-04 / 07:23

      コメントありがとうございます。西側のリーダーのすべきことは、制裁一辺倒ではなく、水面下でプーチン大統領と交渉し、戦争を終結させるように持っていくことでしょう。しかし、アメリカのバイデン大統領もイギリスのジョンソン首相も、プーチンは独裁者と非難し、国際社会による制裁ばかりを主張しています。これでは、悪いインディアンをカーボーイが退治し、平和が訪れるという西部劇の発想です。ほぼ毎日プーチンと電話をして交渉を続けているマクロン大統領が、「最悪の事態が訪れる。フランス人はロシア!から出国するように。」という談話を出しました。ですから、間もなく戦争は終わるでしょう。それまでに死者の数が少ないことの祈るばかりです。

      いいね

  2. gumehituzi 2022-03-07 / 00:15

    拝読させて頂きました。突然のコメント失礼致します。

    先日、身近に戦争で重視すべきことは「いかにして犠牲者を減らすことであって戦いの結果ではない」との意見がありました。今回の侵略ではある意味、資本主義の結果にこだわる姿勢が悪い意味で発揮されているように感じます。

    ロシアがいかに悪いかばかり報道されていますが、正義にはまた別の正義が対立しているということを忘れないようにしたいと思います。情報過多の世界の戦争は正しく情報を精査しなくては誤った思想に陥る危険な社会でもあると思います。

    国際政治のための犠牲者がこれ以上増えないように「結果ではなくいかにして犠牲者を減らすこと」を考えられる国際社会になる事を祈ります。

    世界がどうか平和でありますように。

    いいね: 1人

    • hiibou 2022-03-07 / 07:12

      コメントをありがとうございます。
      まず最初に「いかにして犠牲者を減らす」かが最も重要なことだと、私も考えます。とりわけ、今、軍事力ではロシア軍をとめられず、多くの人はロシア国内でプーチン政権が倒されることを期待しているようですが、それはまず実現しないでしょうし、実現するとしてもいつかわかりません。もし実現するとして、それまでにどれだけの人が命を落とし、国を脱出し、都市が破壊されることでしょう。
      ゼレンスキー大統領は、「私たちはヨーロッパの理想のために死んでいきます。」と演説しました。世界中の反戦の動きを呼びかけるための言葉ですが、死んではいけないのではないかと強く考えるわけです。

      日本は戦争で1年2か月アメリカ軍の空襲に遭い、最後は広島と長崎に原子力爆弾が落とされました。その際、日本国民は、敗戦を受け入れるという声よりも、反アメリカの声を大きくしたのではないでしょうか。もし当時の天皇と政府が敗戦を受け入れていなければ、3つ目4つ目の原爆が落とされていたかもしれません。
      日本が敗戦を受け入れた過程は、以下の通りです。
      1945年8月6日 広島に原爆投下。
      8月9日 ソ連参戦。
      同日、ソ連への対処について最高戦争指導会議が開催され、「依然戦争を継続して大東亜戦争の目的完遂に邁進す」(『参謀本部所蔵 敗戦の記録』原書房)という論調があった。しかし、その会議中に、長崎への原爆投下が知らされた。その結果、最高戦争指導会議は天皇臨席の御前会議へと引き継がれ、、ポツダム宣言受諾による敗戦を決定した。
      8月14日 ポツダム宣言受諾

      大空襲での被害は、全国で200以上の都市が被災し、30万人以上の死者があり、1,500万人が家を失ったと推定されています。
      その中でも地上戦が行われた沖縄では、上陸した米軍と英軍を主体とする連合国軍と日本軍との間で行われ、多数の民間人が「軍民一体の戦闘協力」のスローガンの下で軍事活動の一部に参加しました。3月26日に始まり6月23日に終了した3か月の戦闘中に、日本側の死亡者数は、兵士、一般住民を合わせ、約18万と見なされています。

      そうしたことを考えると、敗戦を受け入れ、和平交渉に臨むことも、「勇気」なのだと思うのです。命を救うための勇気です。
      その後、しばらくは苦しい時期が続くでしょうけれど、将来は専制政治を許さない国になるでしょう。
      そのためにも、命を救わないといけないのだと思います。どんな条件でも停戦をして。。。

      いいね

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