プラトン的二元論から一次元的世界観(現前性)への大転換

19世紀の後半、ヨーロッパでは世界観の大きな転換があり、古代ギリシアのプラトンに始まり、ルネサンスを通して19世紀前半まで続いてきた世界観が大きく揺らぎ始めた。

フランスでは、その転換点に、シャルル・ボードレール、ギュスターヴ・フロベール、エドワール・マネたちが位置していた。
彼らの作品は、自分たちの時代の事物や出来事をテーマとして選択したが、その再現を目的とするのではなかった。
むしろ現実の再現を止め、現実から自立し、作品自体が現実とでもいえるものの創造を目指した。

端的に言えば、そこで生成されつつあったのは、現実とフィクションの区別をするのではなく、フィクションも一つの生命を有する現実と見なす一次元的世界観だった。

その大転換を理解するために、プラトニスムの転倒を企て、それに苦しみ、最後は狂気に陥った哲学者ニーチェについて書かれたマルティン・ハイデッガーの文章を読んでみたい。

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マネ 「草上の昼食」 現前性の絵画 Manet et la peinture de la présence

1863年に「落選者展」に展示されたマネの「草上の昼食」は、服を着た二人の男性の横にヌードの女性がリアルに描かれ、スキャンダルを巻き起こした絵画として知られている。

それまでのヌードは、女神やニンフといった人間を超えた存在として描かれ、美の典型を象徴するものとして認められてきた。
それに対して、マネのヌードは、普通の公園の中、理想化されない姿で女性の裸体が描かれている。その主題の選択が、ヨーロッパ絵画の伝統に反することは確かである。

しかし、主題の選択とは全く違う次元で、「草上の昼食」は新しい世界観、芸術観が誕生しつつあった証となる作品もある。

それまでの芸術では、例えば宗教画であれば、聖書などに物語が記され、その物語を描くものだった。つまり、絵画の意味はすでに存在し、それを再現して描くことが目的とされていた。
シャルル・ボードレールが、「古代の生活は多くを表象した(La vie ancienne représentait beaucoup.)」というのは、そのことを指している。
「表象réprésenter」とは「re(再び)- présent(現在)」にするという意味であり、「再び」という言葉が、すでに存在したものの再現であることを示している。

それに対して、モネの絵画は、「再び」ではなく、「今・ここの表現」であり、その意味で、「現前性(présence)」の絵画と呼ぶことができる。

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アントワーヌ・ヴィールツ 「キリストの埋葬」 Antoine Wiertz  Christ au tombeau

アントワーヌ・ヴィールツ(1806-1865)の描く「キリストの埋葬」は、独特の魅力で見る者に迫ってくる。

中央のパネルに描かれているのが、「キリストの埋葬」であることはすぐにわかる。
では、左右のパネルに描かれているのは、誰だろう?

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イヴ・サン・ローランと絵画

1962年にイヴ・サン・ローラン(Yves Saint Laurent)が最初のファッションショーを開いてから60年を記念して、2022年にパリの6つの美術館 ー ピカソ美術館、オルセイ美術館、現代美術美術館、ポンピドー・センター、ルーブル美術館、サン・ローラン美術館 ー で彼の作品が展示されている。

YVES SAINT LAURENT AUX MUSÉES célèbre le 60e anniversaire du premier défilé d’Yves Saint Laurent. Le couturier, tout juste âgé de 26 ans, signe le 29 janvier 1962 sa première collection sous son propre nom.

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モナリザの贋作が競売に

17世紀に作成されたモナリザの贋作が競売にかけられるというニュース。本物から1世紀後に描かれた偽物なので、現在の本物の状態よりも本物の色彩に近いかもしれないということで、どれだけの価格で落札されるのだろう。

Une copie de la Joconde aux enchères

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ルノワール イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢の肖像 モデルと絵画の数奇な運命

ルノワールの「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢の肖像」は素晴らしく美しい。
この絵画のモデルとなった女性を映像で見ることができるだけではなく、彼女がこの絵を好きでなかったこと、彼女が結婚したカモンド家のこと、子供たちのこと、ナチスに奪われた絵が戦争の後彼女の元に戻されたこと、そして、その絵を彼女が売ってしまったことなど、本当に色々なことがわかる番組。

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古典主義絵画の美意識 2/2 ロレーヌ公国出身の画家 ジョルジュ・ドゥ・ラ・トゥール、クロード・ロラン

ジョルジュ・ドゥ・ラ・トゥール(1593-1652)とクロード・ロラン、本名クロード・ジュレ(1600あるいは1604-5-1682)は、ほぼ同じ時期に、ロレーヌ公国の小さな村で生まれた。
ラ・トゥールのヴィック・シュル・セーユも、クロードのシャマーニュも、ナンシーから車で30−40分の場所に位置している。

二人とも比較的貧しい環境で育ったが、画家として、一人は故郷に留まり、もう一人はイタリアで大半の時を過ごした。

彼らの絵画は光の効果によって特徴付けられるという共通点を持っているのだが、表現法は全く違っている。
「大工の聖ヨセフ」と「夕日の港」を並べてみると、その差は歴然としている。一方には強烈な明暗のコントラストがあり、他方には拡散する光がある。

ジョルジュ・ドゥ・ラ・トゥールの美は深い精神性を、クロード・ロランの美は穏やかな抒情性を、見る者に届けてくれる。

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古典主義絵画の美意識 1/2 アカデミー系の画家たち プッサン ル・ブラン 等

ヨーロッパ芸術は、16世紀後半から18世紀半ばまで、バロック様式が主流となった。それ以前のルネサンス様式の特色が均整と調和だとすると、バロックは情動性と運動性によって特色付けられる。
フランス古典主義は、バロックの時代にあって、ルネサンス様式への回帰を模索し、理性によって情念を制御することで、秩序ある空間表現を美の基準とした。

ルネサンス→バロック→古典主義の流れを視覚的に把握するために、3つの時代の代表的な作品を比べてみよう。

ルネサンス→バロック→古典主義

古典主義絵画を代表するニコラ・プッサン、フィリップ・ド・シャンパーニュ、シャルル・ル・ブランの作品。
1631年、1652年、1689年の作だが、どれも、秩序ある画面構成が行われ、ある情景の最高の一瞬を永遠に留めているという印象を与える。

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