サン=テグジュペリ 星の王子さま Saint-Exupéry Le Petit Prince apprivoiserの実践練習

「星の王子さま」の中で、王子さまがキツネから教えてもらう最も大切な秘密は、apprivoiserという言葉で表される。
日本語にピッタリする言葉がなく、「飼い慣らす」「手なずける」「仲良しになる」「なじみになる」「なつく、なつかせる」等々、様々な訳語が使われてきた。

日本語を母語とする私たちと同じように、王子さまもapprivoiserがどういうことかわからず、キツネに質問する。
キツネの答えは、「絆を作ること(créer des liens)」。
そして、意味を説明するだけではなく、王子さまに次のように言い、apprivoiserの実践練習をしてくれる。

– S’il te plaît… apprivoise-moi ! dit-il.

「お願い・・・、ぼくをapprivoiserして!」 とキツネが言った。

続きを読む

サン=テグジュペリ 『星の王子さま』  Antoine de Saint-Exupéry Le Petit Prince キツネの教える秘密 — apprivoiser — 詩的物語 

『星の王子さま(Le Petit Prince)』の伝えるメッセージの中心は、小さな王子さまが出会うキツネによって伝えられる。

キツネは王子さまにapprivoiserしてくれと言い、王子はapprivoiserとはどういうことか問いかける。
そして、その対話の最後は、「大切なことは目に見えない。(L’essentiel est invisible pour les yeux)」という言葉へと続いていく。

これらの会話を通してとりわけ注目したいのは、『星の王子さま』が普通に言われる意味での「小説」ではなく、子供用の読み物でもなく、詩的な散文で綴られていること。
こう言ってよければ、散文詩的な物語。普通に誰もが使う日常の言葉が使われ、ごく普通の構文に基づきながら、詩情を感じさせる。
フランス語で小さな王子さまとキツネの会話を読むと、Le Petit Princeのしっとりとした詩情(ポエジー)を感じることができ、翻訳で読むのとは違う喜びを味わうことができる。

続きを読む