印象派と浮世絵

19世紀後半、ヨーロッパでは、ルネサンス以来続いてきた芸術観が大転換を迎えた。
現実にあるもの(la nature)を模倣(imiter)、あるいは再現する(représenter)ことを止め、新たな美を生み出そうという動きが始まる。
まさにその時期、浮世絵が知られるようになり、とりわけフランスの絵画に大きな影響を及ぼした。

他方で、私たちは21世紀になった現在でも、伝統的な芸術観に多くを負っている。ルネサンスに生み出された遠近法に基づき、3次元空間を前提にした物の見方をしているといえる。そのため、19世紀に戸外に出て自然をスケッチしたバルビゾン派の絵画(ただし、制作はアトリエの中)と、印象派の絵画の断絶があまりわからない見方をしてしまっている。

Théodore Rousseau, Les Chênes d’Apremont
Alfred Sisley, La Seine à Bougival

テオドール・ルソー(バルビゾン派)もアルフレッド・シスレー(印象派)も、風景をそのまま写生した絵画だと思い込んでいないだろうか。
もしそうだとしたら、印象派絵画の革新性も、浮世絵が何をもたらしたのか、わからないことになってしまう。

スージー・ホッジは『印象派の画家のように描く』(Peindre à la manière des Impressionnistes, Eyrolles, 2004)の中で、ジャポニスムの影響を受けている絵画として、次の3点を最初に挙げている。

Degas, Femme se coiffant
Van Gogh, Portrait du père Tanguy
Manet, Terrasse à Sainte Adresse

ゴッホに関しては、日本風に描くという項目が設定され、次の2点が取り上げられている。

Van Gogh, Autoportrait à l’oreille bandée
Terrasse de café, la nuit

これらの絵画が日本的に描かれていると言われても、よくわからない。浮世絵の影響があるとしたら、どのようなところなのだろうか?

印象派絵画は、次の点で伝統的な芸術様式と異なっている。
1)色彩
2)線(デッサン)
3)構図
4)テーマ
5)効果:本当らしさの減少、装飾的(グラフィティアート的)印象

これらの点を順番に見ていこう。

印象派と浮世絵」への2件のフィードバック

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