動詞と名詞 概念と具体化

文を作る要素の中心は、動詞と名詞。
多くの場合、動詞は活用され、名詞には冠詞などの限定詞が加えられて、文の中で機能を果たす。
では、活用や冠詞などはどのような役割を果たしているのだろうか。

Danserという動詞の原形(活用しない形)は、踊るという意味の概念を示している。
livreという名詞は、本という概念を示している。
概念は一般的な意味であり、現実の事象を表現しているのではない。

実際の事柄に言及する場合には、動詞を活用し、名詞に冠詞などを付けて概念を具体化する必要が出てくる。

動詞

J’aime danser.
原形のdanserは、踊ることという概念だけを示し、実際に踊っているのか、踊ったのかは問題ではない。

動詞を活用するのは、動詞の意味する概念を、時間の中に位置づける作業である。
Je danse.
この場合には、踊るという行為が、現在行われていることを示す。

Je dansais. 
こちらは、過去の時間帯で行われていることを示している。

時間帯の中に位置づける作業については、以下の項目を参照。
https://bohemegalante.com/2019/05/17/systeme-temps-verbe-francais-1/

名詞

名詞の概念を具体化するには、限定詞を用いることになる。
1)冠詞, le la, les, un, une, des, du, de l’
2)指示代名詞 ce, cette, ces
3)所有代名詞 mon, notre 等
4)否定限定詞 aucun, nul 等
5)疑問限定詞 quel
6)数量詞, un, deux, 等。

名詞は限定詞をつけないと、具体的なものを意味しない。(ただし、複数形の語尾を付けると印がつくので、具体化に近づく。)
Livreは本という概念を示すだけで、どの本かも、何冊あるのかもわからない。

J’adore ce livre.
この本、大好き。

livreをceで限定することで、この(その)本を指し示すことができる。
限定詞は、本という概念を、現実の本を指す言葉に変換する役割を果たしている。

J’aime bien le récit de voyage.
旅行記が好き。

J’aime bien le récit du voyage.
この旅行に関する物語が好き。

voyageに限定詞がないと、特定の旅行ではなく、旅行という概念が示される。従って、récit de voyageは旅行記という意味になる。
le voyageと定冠詞がつく場合には、どの旅行かが限定される。従って、récit du voyageだと、特定の旅行の物語であることになる。

フランスの学校では、analyse de texteやexplication de texteを学ぶ。その場合の texteが無冠詞なのも、具体的な一つのテクストを指しているからではないという理由による。

夏目漱石の『草枕』には二種類のフランス語訳がある。
Oreiller d’herbes
Oreiller d’herbe

片方にはherbesにsという複数形の印が付き、他方は無印である。
複数形を示すsを付けると、概念が具体化される。そこで、現実の草のイメージが強くなる。草枕の中には草が詰まっている感じ。
それに対して、無冠詞でsもなくherbeのままであれば、概念が提示されるだけということになり、草枕に現実の草のイメージが付け加えられることはない。
漱石の小説の題名の翻訳としては、無印のherbeが相応しいだろう。

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