『源氏物語絵巻』東屋(一)を見ると、平安貴族たちがいかに自然と親しみ、自然の中で生きていたかが見えてくる。

私たちは一般に、この絵画を『源氏物語』第50帖「東屋」の一場面であることを前提に鑑賞する。そのため、つい女性たちに目が向き、左端で本を見ている女性が浮舟(うきふね)であり、その前で長い髪を梳いてもらっているのが中君(なかのきみ)である、といった具合に、物語の内容に即して解釈しがちである。
しかし、あらためて場面そのものに目を向けると、中央を占めているのは几帳に描かれた風景であり、その背後の襖にも自然の光景が大きく描かれていることに気づく。そのうえで物語を思い起こせば、浮舟が見ているのは、女房が読む「詞書(ことばがき)」に対応する「物語絵」であることがわかる。つまり、この室内には三つの風景が取り込まれていることになる。
「東屋」の物語が旧暦の八月から九月にかけて、すなわち秋に設定されていることを頭に入れた上で、当時の色彩に復元された画像を見てみよう。












