テオフィル・ゴーティエ 浜辺にて Théophile Gautier Au bord de la mer 詩は絵のように ut pictura poesis 

テオフィル・ゴーティエは若い頃絵画を志したこともあり、視覚に訴える、絵画的な詩を書くことがあった。

絵画と詩の関係は、古代ローマのホラティウスの『詩法(Ars poetica)』の中で、« ut pictura poesis »(詩は絵画のように)という表現で定式化され、古典主義詩論で重視された。
詩は言葉を話さない絵画、絵画は無言の詩。
詩と絵画は同じテーマを扱い、同じ目的を持つという芸術論は、とりわけルネサンスの時代以降に重視された。

「浜辺にて(Au bord de la mer)」でも、海の上に差しかかる月が、扇のイメージを中心した美しい絵画として描かれている。

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ランボー 「酔いどれ船」 Rimbaud « Le Bateau ivre » 2/7 詩の大海原

「詩は絵画のように」から詩の大海原へ

Willam Turner, Calais Pier

第1−2詩節では、酔いどれ船(私)が、「大河」を自由に下ることになったいきさつが明らかにされた。

第3−5詩節になると、船は河から海に出、海岸近くから沖へと流されていく。

ランボーはその様子をナレーションで語るのではなく、イメージを連ね描いていく。

その手法は、ut pictura poesis(詩は絵画のように、絵画は詩のように)と言われる、詩に関するローマ時代からの考え方を思わせる。

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フランス語の詩を読むために

せっかくフランス語を勉強したら、フランス語の詩の美しさを味わいたいと思うのが、自然な流れだろう。
そこで大切になることが、詩法に関する知識。
フランス語の韻文詩は明確な規則に従って作られてきたので、規則を知ることが理解の基礎になる。

1)詩とはどのようなものか ー 音楽性、絵画性
2)韻文の形式 ー 音節数、韻(音節数、男性/女性、韻の連続)
3)音楽性 ー リズム、音色
4)音、リズムと意味の関係

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