
昨日の夕方アカが車に轢かれて死んだ。そんな知らせが届いた。
アカは近所に住む地域ネコで、毎日通りかかる度に挨拶をする関係。ただの野良猫だし、特別に価値があるわけではないが、とにかくカワイイ存在だった。
アカの横たわる姿を見て、ふと中原中也の「春日狂想(しゅんじつきょうそう)」の詩句が頭に浮かんだ。中也は、最愛の息子文也の死後、精神的にかなりの混乱をきたした。その時期に書かれたと想定され、耐えきれない悲しみに心を塞ごうとする気持ちが痛いほど感じられる。
愛するものが死んだ時には、
自殺しなきゃあなりません。
(中略)
愛するものは、死んだのですから、
たしかにそれは、死んだのですから、
もはやどうにも、ならぬのですから、
自殺という言葉は読者をびっくりさせるかもしれないが、感情を殺すしか悲しみをこらえる方法がないという意味だと理解したい。
そんな悲しみを前にして、こんな風に思ってみたところでどうしようもない。
《まことに人生、一瞬の夢、
ゴム風船の、美しさかな。》






