ヴェルレーヌのコレスポンダンス 「クリメーヌに」 Verlaine, « À Clymène »

「クリメーヌに」« À Clymène »は、数あるヴェルレーヌの美しい詩の中でも、最も美しい。しかも、その土台には、ボードレールから受け継いだコレスポンダンスの思考があり、それを音楽的に表現している。

「クリメーヌに」の音楽性を感じるために、まずフォーレが作曲した曲で聞きたい。

つぎの朗読を。

ヴェルレーヌの詩においては、何よりも音楽が大切! 
De la musique avant toute chose. (« Art poétique »)

第1詩節

Mystiques barcarolles,
Romances sans paroles,
Chère, puisque tes yeux,
Couleur des cieux,

ゴンドラ乗りの不思議な歌、
歌詞のない恋の歌、
愛しい女(ひと)よ、
あなたの目が空の色だから、

Mystiques barcarollesは神秘的な舟歌。
mys-ti-que 3音節で、最初の二つの母音は、i。口を横に強く引っ張り、緊張した音。
bar-ca-rolles。こちらも3音節だが、今度は、広いaの音が二つ続き、最後は広いoの音。口を大きめに丸くするので、音自体も円やか。
iの緊張から、a, oの円やかさへ。この時、口がとても気持ちよくなる。

ランボーの母音の理論では、iは赤。aは黒。oは青。« Mystiques barcarolles »という第一詩行の中で、色彩が赤、黒、青と変化してゆく。

Ro/man/ces/ san/s pa/rolesでは、前のoを受けて、rOで始まり、anと鼻母音が二つ続いた後、aが戻り、最後はrOllesとoで終わる。
barcarollesとparolesは、oが韻を踏むだけではなく、rとlという二つの音も共通し、豊かな韻(rimes riches)になっている。

最初の2つの詩句の円やかさは、こうした音によって生み出される。
翻訳では音は再現できないので、音楽性はフランス語で読まないとわからない。

Chèreと呼びかけられる相手は、題名となっているクリメーヌ(Clymène)。
クリメーヌは森や山に住むニンフであり、自然と近い存在。彼女の目は、空の色。森の中にある池の水が、空の青を映し出している様子を指している。

puisque(だから)の後に、名詞(mes yeux)が置かれ、その後、色(couleur)という名詞が同格の位置に置かれている。動詞はない。そのことで、あなたの目と言った後、次の対象へと意識が移っていくことが、スピード感を持って示されている。
Puisqueという言葉は、第2詩節から何度も繰り返され、詩全体のリズムを形作る。そのことで、意味だけではなく、音やリズムが詩においていかに重要な要素か、わからせてくれる。

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