映画の倫理と時代の倫理 終戦直後の小津安二郎作品

私たちは特別意識しないままに、今生きている時代、今生きている場所に流通する倫理観を持っている。そして、その倫理観に基づいて、物事を判断し、自分の行動を決定したりする。

そうした時代性、地域性を意識しないと、自分の持っている倫理観が、全ての時代、全ての人間に共通していると思い込む可能性がある。
また、意識したとしても、別の倫理観を受け入れられないこともある。

古い映画を見るとき、共感できることもあれば、感情的に反発することもある。それは、映画の中で描かれた社会の倫理観と自分の持つ倫理観と関係している。
映画は、映像と音声によって作られる擬似的な世界。観客はフィルムが続く間、その世界を体感する。つまり、現実の世界と類似した経験をするのであり、必然的に倫理観も同様に働く。

映画としての価値とは別の次元で、倫理観や価値判断が働き、好きな映画、受け入れられない映画の違いが出てくる。
そうしたことを、小津安二郎監督が終戦後に制作した「長屋紳士録」から「東京物語」までの6本の映画を通して考えてみよう。

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ディーバ Diva ジャン・ジャック・ベネックス監督のスタイリッシュな傑作

「ディーバ(Diiva)」では、物語が最小限に抑えられ、映像と音楽が生み出すスタイリッシュな場面がリズミカルに連続していく。
1981年の作品だが、2020年の現在見ても十分に斬新さが感じられ、映画的な楽しさを味わうことができる。
ジャン・ジャック・ベネックス監督が5年後に制作した「ベティ・ブルー(37°2 le matin)」と比べても、尖っているし、格好いい。

以下のサイトで、全編を通して見ることができる。(英語字幕)
https://vimeo.com/327232594

映画が始まってから約7分の間、一言もセリフがなく、若い郵便配達人ジュール(Frédéric Andréi)がクラシック音楽のリサイタルに行き、憧れの歌手の歌をこっそりテープレコーダーで録音する場面が続く。
観客は、アメリカのソプラノ歌手シンシア・ホーキンス(Wilhelmenia Wiggins Fernandez)の歌だけではなく、コンサート会場(Bouffes du Nord)そのものにも惹きつけられる。

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映画のネタバレについて ストーリーの役割

映画を解説を見ていると、「ネタバレ注意」と書かれているのを見かけることがある。その表現は、ストーリーの結末まで書いてあることを予告している。

ネタバレに関して考える時、最も興味深いのは、ビリー・ワイルダー監督の「情婦(Witness for the Prosecution:検察側の証人)」だろう。
タイトルエンドが出た後、次のようなナレーションと字幕が流れる。

for the greater entertainment of your friends who have not yet seen the picture, you will not divulge to anyone the secret of the ending of Witness for the Prosecution.
この映画をまだ見ていないご友人たちが大いに楽しめるように、「検察側の証人」の結末の秘密を誰にも明かさないようにしてください。

このナレーションをそのまま信じれば、映画制作者自身が、映画の楽しみはストーリーの結末にあると言っていることになる。

しかし、ふと立ち止まって考えてみよう。
好きな映画であれば、2度3度と見ることはよくある。その場合にはストーリーは全て知っていて、ネタバレの状態で見ている。
そして、映画は何度見ても、その都度発見があり、楽しい。

そのように考えると、映画にとってストーリーとは何かという疑問が浮かんでくる。

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映画 Miss  ミス・フランスを目指した男性の物語

一人の男性が、ミス・フランスになることを目指す物語。
主役を演じているAlexandre Wetterが、本当にきれいな女性になっている。
(フランスでの公開は、2020年10月28日。)

Alex, petit garçon gracieux de 9 ans qui navigue joyeusement entre les genres, a un rêve : être un jour élu Miss France. 15 ans plus tard, Alex a perdu ses parents et sa confiance en lui et stagne dans une vie monotone. Une rencontre imprévue va réveiller ce rêve oublié. Alex décide alors de concourir à Miss France en cachant son identité de garçon. Beauté, excellence, camaraderie… Au gré des étapes d’un concours sans merci, aidé par une famille de cœur haute en couleurs, Alex va partir à la conquête du titre, de sa féminité et surtout, de lui-même…

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チャップリン 「街の灯」 Charlie Chaplin City lights 映画を名作にするもの 

チャーリー・チャップリンの「街の灯(City Lights)」は、1931年の初演以来、名作中の名作として90年近くの間、人々を楽しませ続けている。

白黒で無声。それだけで、古いとか、分かり難いと思ってしまうかかもしれないが、全くそんなことはない。
むしろ、カラー作品ではなく、無声だからこそ、映画の最も基本的な要素を浮かび上がらせる。そして、それぞれの要素の質の高さが名作映画を作るのだ、ということを教えてくれる。

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ベティ・ブルー 37º2 Le Matin 激しく美しい愛の物語

1986年に公開された「ベティ・ブルー(37.2 Le Matin)」。フランスではキュルトゥ(culte、信仰)と言われ、今でも信奉者がいるほど、人々の記憶に強く焼き付いている。

ベティとゾルグが暮らす海沿いの風景の中に、サックスの曲が流れる。このシーンを体験するだけで、カブリエル・ヤレドの音楽とジャン=フランソワ・ロバンの映像が作り出す見事な世界を体感することができる。

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アメリ Le destin fabuleux d’Amélie Poulain 開く心

「アメリ(原題:アメリ・プランの不思議な運命)」は、主演のオドレイ・トトゥの独特な表現や彼女を取り囲む小物、赤と緑を基調とした色彩、パリを感じさせる街並み等のために、2001年の公開以来、現在でも人気がある。

物語は、アメリの恋物語を縦糸にし、彼女のかかわる人々の人間模様が横糸になる。

心を閉ざしたアメリは、ある事件をきっかけに人と関わり始める。それと同時に、インスタント写真を貼ったアルバムの謎を通して、ニノとの恋物語が語られる。
そうした展開の中で、閉ざされた心が外に開かれいていく過程が描き出され、多くの観客の共感を呼ぶことになった。

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最強のふたり Untouchable フランス映画入門に

最初に見るフランス映画として、「最強のふたり」は最適な作品だろう。

主人公の二人、車いすに乗ったフィリップと、彼の世話をする黒人のドリスの間に出来上がっていく心の絆は、他の人間からは触れられない、貴重なもの。

フランス語の題名Untouchable(触れてはならないもの)は、その二人の関係を示している。

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映画誕生時から見る、映画の構成要素

普段、私たちは何となく映画を見ているが、映画はいくつかの基本的な要素から構成されている。

そうした要素は、全てが最初から存在したわけではなく、映画の進化に伴って徐々に付け加わっていった。
映画の誕生から歴史的に見ていくと、その進化が明確になる。

1)最初の映画 ワンカット・ワンシーン

リュミエール兄弟が、1895年、パリのグラン・カフェで世界初の映画を上映した。
その映画は、ワンカット・ワンシーン。つまり、撮影したままのフィルムを、そのままスクリーンに映写したもの。

最初に上映された映画「工場の出口」は、リュミエール兄弟の工場から出てくる人々の映像をそのまま流している。

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ニュー・シネマ・パラダイスとロマン主義的抒情

本当に久しぶりに、「ニュー・シネマ・パラダイス」を見た。日本での公開は1989年だから、ざっと30年ぶりくらい。懐かしいと同時に、やはりいい映画だと思う。音楽はいつ聴いても、心を震わせてくれる。

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