紅の豚 大人を主人公とした、大人のためのアニメ

「紅の豚」の主人公は、豚の顔をした中年のパイロット。格好良くもないし、英雄でもない。何か特別なことを成し遂げるわけでもない。

そんな作品に関して、宮崎駿監督は、「紅の豚」の演出覚書の中で、「疲れて脳細胞が豆腐になった中年男のための、マンガ映画であることを忘れてはならない。」と書いている。

また、「モラトリアム的要素の強い作品」という言葉を使い、大きな流れから一旦身を引き、執行猶予あるいは一時停止の状態にいる人間の状況がテーマであることを暗示する。

そのような状況設定に基づき、「紅の豚」は私たちに、宮崎監督の考える「大人」、そして「人間が個人として生きることの意義」を明かしてくれる。

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イヴ・ボンヌフォワ 「雨蛙 夕方」 Yves Bonnefoy « Les Rainettes, le soir » 俳句的?

イヴ・ボンヌフォワ(1923-2016)は、現代フランス最高の詩人。
フィリップ ・ジャコテ(1925- )とともに、俳句を高く評価し、俳句の精神をフランス詩の中に取り入れた詩人でもある。

幸い、ボンヌフォワが松山市で俳句について行った講演記録の日本語訳を、ネット上で読むことが出来る。
http://haikusphere.sakura.ne.jp/tra/2000/bonnefoy%20lecture-j.html

詩集『曲がる板(Les Planches courbes)』の冒頭に置かれた「雨蛙、夕方(Les rainettes, le soir)」は、芭蕉の古池に飛び込む蛙たちの声をフランスの詩人が耳で捉えた証なのかもしれない。

第一詩節は雨蛙たちの声から始まる。

I

Rauques étaient les voix
Des rainettes le soir,
Là où l’eau du bassin, coulant sans bruit,
Brillait dans l’herbe.

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コロナウィルスについて

コロナウィルスが猛威を振るっているが、それ以上に人の心を占領しているのは、コロナウィルスについての情報の氾濫。
Gérald Bronnerが、社会学的な視点からこの現象を分析している。
フランス語を理解できる人には、ぜひこのインタビューを聞いてほしい。

https://www.tf1.fr/tmc/quotidien-avec-yann-barthes/videos/invite-on-decrypte-la-peur-autour-du-coronavirus-avec-le-sociologue-gerald-bronner-55355230.html

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音から入るフランス語学習 フランス語を聞こう

youtubeには、フランス語の短いフレーズの音声を、日本語と合わせて流しているサイトがいくつかある。
フランス語と日本語の対応に問題のあるものもあるが、フランス語のフレーズを一連の音として聞くためには役に立つ。

フランス語睡眠学習(8時間!)

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メンデルスゾーン、ショパンの「舟歌」とヴェルレーヌのこの上なく美しい詩

ヴェルレーヌが1874年に出版した詩集『言葉なき恋愛(Romances sans paroles)』は、メンデルスゾーンのピアノ曲集『言葉なき恋愛(Lieder ohne Worte)』に由来すると言われている。

メンデルスゾーンのピアノ曲集には、「ベニスのゴンドラ乗りの歌」と題された曲が3つ入っている。
同じように、ベルレーヌの詩集にも舟歌がある。
「クリメーヌに」。
「神秘的な舟歌(Mystiques barcarolles)」という詩句で始められる。

作曲家と詩人を繋ぐものとして、もう一つの舟歌があるかもしれない。
それが、ショパン晩年の曲「舟歌」。フランス語の曲名は、Barcarolle。
ヴェルレーヌが、« Mystiques barcarolles »綴ったとき、メンデルスゾーンだけではなく、ショパンの曲も心に思い描き、二人の舟歌が詩人の内部で鳴り響いていただろう。

そうして出来上がった詩「クリメーヌに」は、ヴェルレーヌの中でも、最も美しい。

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フランス語 はじめの一歩

フランス語を勉強してみたい人、あるいは、もう一度勉強を再開したい人のために、フランス語学習の効果的な方法を考えてみたい。

原則は以下の3つ。

(1)外国語習得の理想は、母語の習得と同じ状況。
(2)文法の2つの側面。
(3)異文化へのアプローチ。

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エラ・フィッツジェラルドとルイ・アームストロングのデュエット「エラとルイ」 のんびりとジャズ・ヴォーカルを聴く 

ジャズには色々な側面がある。
そんな中で、1956年に発表されたアルバム「エラとルイ」は、エラ・フィッツジェラルドの美しい歌声と、ルイ・アームストロング(サッチモ)のしわがれた声+輝かしいトランペットの音が心地よく調和し、いつ聞いても気持ちがリラックスする。

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藤田嗣治 平和の聖母礼拝堂 Tsugouharu Fujita La Chapelle Notre-Dame-de-la-Paix 

藤田嗣治は、20世紀の初頭のモディリアーニやユトリロを代表とするエコール・ド・パリに属し、フランスで活動し認められた唯一の日本人画家といってもいいだろう。
その藤田嗣治が全てを任されて建造したロマネスク様式の礼拝堂La Chapelle Notre-Dame-de-la-Paix(平和の聖母礼拝堂)が、パリから電車で約50分ほどに位置するランス市にある。

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フランス語講座 ニュースのフランス語 沖縄 長寿の島 Okinawa, l’île aux centenaires

沖縄では100歳以上の人達(les centenaires)が元気で暮らしているというニュースが、2020年2月20日のFrance 2, 20 hで流れていた。

その秘訣を知ることで、健康に生きるための、従うべきモデル(modèle à suivre)を紹介している。

Japon : Okinawa, l’île aux centenaires

https://www.francetvinfo.fr/monde/japon/japon-okinawa-l-ile-aux-centenaires_3834513.html

France 2 part à la découverte d’Okinawa, un archipel au sud du Japon réputé pour ses nombreux centenaires.

un archipel:群島
réputé pour :・・・で有名

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アルチュール・ランボー博物館 Musée Arthur Rimbaud à Charlevilles-Mézières

パリから電車で約2時間のところに、ランボーの故郷シャルルヴィルがある。
現在はシャルルヴィル=メジエール市。
電車を降りると、詩人の胸像がすぐに見えてくる。

ポール・ヴェルレーヌとのスキャンダルもあり、生前や死の直後はシャルルヴィルの恥だと考えられていた「呪われた詩人」が、今ではフランス最高の詩人の一人として、市の誇りなのだ。

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