ジブリ・アニメ(宮崎駿監督作品)の中の自然

ジブリのアニメの中で、自然が大きな役割を果たしていることはよく知られている。そこで、日本における自然の概念と合わせて、「風の谷のナウシカ」「となりのトトロ」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」「ハウルの動く城」を通して、宮崎駿監督の描く自然について考えてみよう。

宮崎監督は、「海外の記者が宮崎駿監督に問う、『もののけ姫』への四十四の質問」と題されたインタヴューの中で、アニメの中の自然はについて、次のように答えている。

現実の森を写生したものではなく、日本人の心の中にある、古い国が始まる時からあった森を描こうとした。(『ジブリの教科書10 もののけ姫』)

心の中にある森は、日本人の信仰とも関係している。

日本人の神様ってのは悪い神と善い神がいるというのではなくて、同じひとつの神があるときには荒ぶる神になり、あるときには穏やかな緑をもたらす神になるというふうなんですね。日本人はそういうふうな信仰心をずっと持ってきたんですよ。しかも、現代人になったくせにまだどこかで、いまだに足を踏み入れたことのない山奥に入っていくと、深い森があって、美しい緑が茂り、清らかな水が流れている夢のような場所があるんじゃないかという、そういう感覚をもっているんですね。そして、そういう感覚を持っていることが、人間の心の正常さにつながっているような気がしています。(・・・)それは一種の原始性かもしれませんが、人間が生きるために自然環境を保護しようという以前に、自分たちの心の大事な部分に森の持つ根源的な力みたいなものが生きている民族性でもあるんですよ。(『清流』1997年8月号)

そうした森や自然が、ジブリ・アニメの中ではどのように描かれているのだろうか。

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ノルマンディー上陸作戦

6月6日は、第二次世界大戦の最後、ドイツに占領されていたフランスが、アメリカを中心とした連合軍の助けによって「解放」される第一歩となった、ノルマンディー上陸作戦の日。
2019年は、75周年ということで、いろいろな報道が行われている。

その中で、Quotidienでは、1944年、ドイツと協力関係にあったヴィシー政権下のメディアが、上陸作戦をどのように伝えていたのか、当時の映像を紹介していた。

https://www.tf1.fr/tmc/quotidien-avec-yann-barthes/videos/zoom-disait-presse-collaborationniste-6-juin-1944.html

ドイツ占領下、連合軍の攻撃はテロ行為として報道された。その同じ行為が、戦後になると、解放のための英雄的戦いと捉えられるようになる。

フランスの大きな社会問題  夫の暴力で死亡する女性

Quotidienという番組で、夫の暴力で死亡する女性の数が、フランスでは非常に多いという話題を扱っていました。今年に入って、61人の女性が死亡しているそうです。

https://www.tf1.fr/tmc/quotidien-avec-yann-barthes/videos/mesures-d-eloignement-c-bidon-temoignage-de-laura-victime-de-violences-conjugales.html

フランス映画を見ていると、しばしば普通の人が非常に暴力的な場面に出会います。こうした面も、フランスの現実なのでしょう。

ネルヴァルの名刺(裏面) 「アルテミス」  Gérard de Nerval « Artémis »

アレクサンドル・デュマに渡した名刺の裏面に書き付けられた「アルテミス」では、オルフェウスによって暗示された神秘に関する、ネルヴァル的開示がなされる。
(名刺の表面に書かれた「エル・デスディチャド」を参照)
https://bohemegalante.com/2019/05/12/el-desdichado-carte-de-visite-nerval-endroit/

Apollon et Artémis

アルテミスは、ローマ神話ではダイアナと同一視され、狩りと月の処女神であるが、ギリシア神話の中では、ゼウスとレートーと間に生まれた子どもで、アポロンの双生児とされている。

名刺の表側の「私」がフェビュス(アポロン)であるならば、裏面にアルテミスの名前があることに驚きはない。

しかし、詩の内容は、ギリシア・ローマ神話とはかなり異質であり、謎めいている。「アルテミス」では、オルフェウス的詩人の神秘に関して、なぞなぞのようなゲーム感覚で詩句が展開する。

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6歳の抽象絵画の画家

2019年6月1日のフランス2、20時のニュースで、6歳で抽象絵画を描くドイツ人の子どもが紹介されていました。
色彩感覚が素晴らしいと思います。

https://www.francetvinfo.fr/monde/europe/allemagne/peinture-portrait-d-un-prodige-allemand_3470591.html

À l’âge où les enfants dessinent encore des maisons et des bonshommes, Mikail Akar, 6 ans, est déjà considéré comme un petit maître de l’art abstrait. Ses toiles se vendent près de 5 000 euros. Le jeune garçon a déjà des gestes précis et une assurance déconcertante. Lorsqu’on lui demande quel est son artiste préféré, Mikail ne se démonte pas. “Moi-même. Et sinon ? Jean-Michel Basquiat, Jackson Pollock et Michael Jackson“, détaille-t-il. 

ランボー「母音」 Rimbaud, « Voyelles » ボードレールを超えて  Au-delà de Baudelaire

「母音」« Voyelles»はランボーの詩の中でも傑作とされ、多くの読者を引きつけてきた。しかし、何度読んでも難しい。なぜこんなに難解な詩が高く評価されるのだろうか。

その魅力を知るためには、ランボーが目指したものを知り、一つ一つの詩句をじっくりと読んでみるしかない。

その試みに挑んだら、ソネを構成する14行の詩句の解説に、12,000字程度費やすことになってしまった。長い長い解説。。。

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フランス語の詩を読むために

せっかくフランス語を勉強したら、フランス語の詩の美しさを味わいたいと思うのが、自然な流れだろう。
そこで大切になることが、詩法に関する知識。
フランス語の韻文詩は明確な規則に従って作られてきたので、規則を知ることが理解の基礎になる。

1)詩とはどのようなものか ー 音楽性、絵画性
2)韻文の形式 ー 音節数、韻(音節数、男性/女性、韻の連続)
3)音楽性 ー リズム、音色
4)音、リズムと意味の関係

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自然と人間 『源氏物語絵巻』の「御法」とフラ・アンジェリコの「受胎告知」

源氏物語絵巻の「御法(みのり)」とフラ・アンジェリコの「受胎告知」は、時代も国も主題も全て異なっているが、右側に家屋の内部が描かれ、左側には庭が描かれている点では共通している。

興味深いことに、二つの庭の草花の役割はまったく異なっている。そこから、日本的な感受性と、ヨーロッパ的な感性の違いを読み取ることができる。

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接続法 直説法 条件法

フランス語の動詞には、直説法、条件法、接続法という3つの法がある。
それらは、動詞の活用という側面から見ると並行関係にある。しかし、表現する事柄から見ると、同列ではない。

動詞の活用に関して、形ではなく、意味について考えてみよう。

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条件法は難しい?

英語の仮定法を難しいと感じるだろうか?
もし難しいと思ったことがあるとしたら、その理由は、日本語と英語のコンセプトの違いを理解していなかったということにつきる。
もし、ifを用いた文が仮定法だと思い込んでいるようなら、全く理解していないことになる。

フランス語の条件法は、英語の仮定法と同じコンセプトに基づいているので、英語さえマスターしていれば、全く問題ない。
しかし、英語の仮定法がわかっていないとしたら、フランス語の条件法にトライする時、日本語とのコンセプトの違いを知っておく必要がある。

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