
ギュスターブ・フロベールは、シャルル・ボードレールが詩の世界で行った革新を、小説に関して行った作家だといえる。
二人は1821年に生まれ、出版活動を本格的に開始したのは1850年代。そして、1857年には、社会の風紀を乱すという理由で、フロベールは『ボヴァリー夫人』が、ボードレールは『悪の華』が、裁判にかけられた。
そうした共通点に以上に大きな意味を持つのは、「新しい詩」、「新しい小説」の第一歩を記したこと。
フロベールに関して言えば、「文体=文章」にこだわり、韻文と同じレベルの構築物にまで散文の完成度を高めることで、現実世界に従属しない「新しい現実」を作り出そうとした。
通俗的な解説の中で、フロベールは、19世紀フランスの社会と人間をありのままに描く写実主義(リアリズム)の代表的な作家と定義されることがある。フロベールがリアリズムを嫌悪していたにもかかわらず、彼の意に反するレッテルが貼られ続けていることは、彼の言葉が生み出した「新しい現実」が、実際の現実を再現した写実よりも、さらにリアルであることを示している。
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