Jacques Brel « Ne me quitte pas » ジャック・ブレル 「行かないで」

フランス語の歌で、世界的に最も知られている曲は、たぶんジャック・ブレル(Jacques Brel)の« Ne me quitte pas »だろう。フランスだけではなく、英語、ドイツ語、イタリア語、アラビア語、ヘブライ語、チェコ語、ポーランド語など、様々な言語で歌われているとフランス語版のWikipediaに書かれている。また、Wikipediaの日本語版にも出てくるし、日本語訳で歌われることもあり、ネット上では対訳が幾つか掲載されてもいる。

« Ne me quitte pas »は、バルバラの« Dis, quand reviendras-tu ? »と同じように、構文が簡単で単語を覚えるのに役に立つ。そこで、文章と単語が自然に頭に残るようにするために、参考につける日本語は、他の歌の場合と同じように、できるかぎりフランス語の構文と対応させていく。

Ne me quitte pas (quitter「別れる、去る、捨てる」tu quittesの命令形はquitte. 語尾のsが取れる。)
ぼくと別れないで(行かないで)

Ne me quitte pas
ぼくを捨てて行かないでくれ。
Il faut oublier
忘れないといけない。
Tout peut s’oublier
全てのことは忘れらる、
Qui s’enfuit déjà (toutの説明)
すでに逃げ去さろうとしている(全てのことは忘れられる)
Oublier le temps des malentendus(il fautに続く)
何度も誤解した時間を忘れないといけない。
Et le temps perdu
そして、失われた時間を(忘れないといけない)
A savoir comment (à+inf. ここでは「方法」の意。oublierするための方法を導く)
知ることで、どうやって
Oublier ces heures
あの時間を忘れるのか、
Qui tuaient parfois
(その時間は)時々、殺すことがあった
A coups de pourquoi (coup「打つこと」:à coups de … 「何度も叩いて」)
なぜなぜと?と問いかけることで、
Le cœur du bonheur
幸福の心を(殺すことのあったあの時間を、どうやって忘れるのか)
Ne me quitte pas
Ne me quitte pas
Ne me quitte pas
Ne me quitte pas

Moi je t’offrirai
ぼくは、君にプレゼントする
Des perles de pluie
雨の真珠を、
Venues de pays où il ne pleut pas. (雨の降らない国の雨の真珠=存在しないもの)
雨の降らない国から来た(雨の真珠を)。
Je creuserai la terre
ぼくは、地面に穴を開ける
Jusqu’après ma mort
ぼくが死んだ後までも、
Pour couvrir ton corps (couvrir … de …「・・・を・・・で覆う」)
君の体を覆うために、
D’or et de lumière
黄金と光で。
Je ferai un domaine
ぼくは領土を作る、
Où l’amour sera roi
そこでは、愛が王になるだろう、
Où l’amour sera loi
そこでは、愛が法律になるだろう、
Où tu seras reine
そこでは、君が女王になるだろう。
Ne me quitte pas
Ne me quitte pas
Ne me quitte pas
Ne me quitte pas

Ne me quitte pas
Je t’inventerai
ぼくは君のために発明する、
Des mots insensés
ばかげた言葉を、
Que tu comprendras (ばかげた言葉を理解する=誤解malentendusがなくなる)
(その言葉を)君は理解するだろう。
Je te parlerai
ぼくは君に話す、
De ces amants-là
あの恋人たちのことを、
Qui ont vu deux fois leurs cœurs s’embraser (voir … inf.「・・・がinf.するのを見る」)
(彼らは)二度、心が赤く燃えるのを見た。
Je te raconterai
ぼくは君に物語る、
L’histoire de ce roi
あの王様の物語を、
Mort de n’avoir pas pu te rencontrer (n’avoir pas puと複合形(avoir+pp.)になっているのは、mortの時点で出会うことができかったこと(完了)を示すため。)
(王様は)死んだ、君に会うことが出来なかったから。
Ne me quitte pas
Ne me quitte pas
Ne me quitte pas
Ne me quitte pas

On a vu souvent
みんなしばしば目にしたことがあった、
Rejaillir le feu
炎が吹き上げるのを、
De l’ancien volcan
古い火山の
Qu’on croyait trop vieux. (croire A B:AがBだと思う)
(その火山を)みんなは(火を噴くには)あまりに年老いていると思っていた。
Il est, paraît-il, des terres brûlées (il est… 「・・・がある」: paraît-il 「・・・のようだ。」)
焼けた大地があるらしい
Donnant plus de blé
(その大地は) より多くの小麦をもたらす
Qu’un meilleur avril
よりよい4月よりも。
Et quand vient le soir
そして、夕方がやって来る時、
Pour qu’un ciel flamboie
空が燃え上がるように、
Le rouge et le noir
赤と黒が
Ne s’épousent-ils pas ?
結ばれないだろうか。
Ne me quitte pas
Ne me quitte pas
Ne me quitte pas
Ne me quitte pas

Ne me quitte pas
Je ne vais plus pleurer
ぼくはもう泣かない。
Je ne vais plus parler
ぼくはもう話さない。
Je me cacherai
あっちに身を隠す。
A te regarder danser et sourire (regarder … inf. 「・・・がinfi.するのを見る」)
君が踊り、微笑むのを見るために、
Et à t’écouter chanter et puis rire (écouter… inf. 「・・・がinfi.するのを聞く」)
そして、君が歌い、次には笑うのを聞くために。
Laisse-moi devenir (laisseはtu laissesの命令形。語尾のsが取れることに注意)
ぼくが成るままにしておいてくれ、
L’ombre de ton ombre
君の影の影に、
L’ombre de ta main
君の手の影に、
L’ombre de ton chien
君の犬の影に。
Mais
でも、
Ne me quitte pas
Ne me quitte pas
Ne me quitte pas
Ne me quitte pas.


面白いことに、女性歌手が« Ne quitte pas »を取り上げることもよくある。その例として、モラーヌ(Maurane)とパトリシア・カース(Patricia Kaas)のデュオを聞いてみよう。

フィギュアスケートで、ステファン・ランビエルがこの曲を使ったことがあった。

スティングの« Ne me quitte pas »は多少発音に問題があるけれど、フランス語に外国語として接している私には、多少発音が下手でもいいのだと勇気づけられる。

歌詞をフランス語として最も美しく聴かせてくれ、ブレルに匹敵するのは、エディット・ピアフ(Edith Piaf)かもしれない。



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