ネルヴァル シルヴィ 言葉の音楽性を体感する

ジェラール・ド・ネルヴァルは、1853年に「シルヴィ」を執筆している時、友人に宛てた手紙の中で、「ぼくは真珠しすぎる(je perle trop)」と書いている。

「真珠しすぎる」?
どういう意味だろう。

お菓子に関して言えば、真珠の形をしたアーモンド菓子を作ること。裁縫では、刺繍などを完璧に仕上げること。音楽では、テンポや一連の装飾音を完璧にするという意味になる。

ネルヴァルはその動詞を文体にも適用し、「シルヴィ」を書きながら、文章を凝りすぎていると感じていたのだろう。そのために、なかなか終わらなくて焦っていたふしもある。
実際、普段のネルヴァルの文章と比較して、「シルヴィ」には非常に美しく、ポエジーを感じさせる文が多くある。

私たちが外国語を学ぶとき、意味の理解に精一杯で、文の美しさを感じることができるとはなかなか思えない。理解するために思わず日本語に変換してしまうことも多く、原語の持つ音楽性を感じることができずにいる。
しかし、それではあまりにももったいない。
せっかく原語で読むのであれば、言葉たちが奏でる音楽に耳を傾け、少しでもいいので「美」を感じられたら、どんなに幸せなことだろう。

小説を形作る言葉の音楽性が何よりも重要だと、村上春樹が小澤征爾との対談で述べている。(村上春樹『小澤征爾さんと、音楽について話をする』)

僕は文章を書く方法というか、書き方みたいなのは誰にも教わらなかったし、とくに勉強もしていません。何から学んだかというと、音楽から学んだんです。それで、いちばん何が大事かっていうと、リズムですよね。文章にリズムがないと、そんなものは誰も読まないんです。

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酒とバラの日々 Days of wine and roses 村上春樹の感性

「酒とバラの日々(Days of wine and roses)」は、1962年に公開された映画の題名。
酒に溺れて人生を転落していく夫婦をジャック・レモンとリー・レミックがとてもリアルに演じ、胸が締め付けられる映画だ。
主題歌は、ヘンリー・マンシーニ作曲。歌詞はジョニー・マーサー。
多くのジャズマンが取り上げ、ジャズのスタンダード曲になった。

酒を通して男と女が出会い、結婚する。その後二人はアルコール中毒になり、家庭が崩壊する。
そうした悲劇的な映画の物語の雰囲気を感じさせながら、しかし何度でも聞きたくなる美しい歌に仕上げているのは、ジュリー・ロンドン。

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詩は世界を美しくする  ネルヴァル ボードレール 村上春樹 ビリー・ホリデー

詩は世界を美しくする。

芸術家、詩人は、自分の世界観(ボードレールの言葉では「気質」tempérament)に従って、作品を生み出す。
私たちは、その作品に触れることで、芸術家の世界観に触れ、感性を磨いたり、彼等のものの見方、感じ方を身につけることができる。

詩においても、そのことを具体的に体験することができる。

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