フランス語の時制体系 その2 フランス語独自の時制:単純過去

複合過去の問題

単純過去と半過去の役割分担があり、単純過去は物語のあらすじとなるような出来事を担当すること。さらに、「歴史」の語りに属し、主に三人称と共に用いられる。

そこで、問題となることが出てくる。過去の出来事で、一人称や二人称の場合には、単純過去は使いにくいということである。

Je naquis en Corse.

ここで、単純過去の使用に違和感があるとして、半過去を使用することもできない。もし半過去を使うと、状況説明を示す半過去と区別ができなくなってしまうからである。

そこで、単純過去に代わって用いられるのが、複合過去である。

Je suis né en Corse.

複合過去は現在の時間帯に属する時制であり、過去の時間帯で用いることはできない。しかし、その時間区分に違反して、過去の出来事であることを示すために使うことが許されている。

英語では、現在完了は現在の時間帯、過去形は過去の時間帯という枠組みが守られている。そのために、過去を意味する副詞を現在完了形と共に用いることができない。I sang yesterday.は正しい文。I have sung yesterday.は間違い。

それに対して、フランス語では、複合過去だけで、時制の整った体系の唯一の違反者となり、過去の時間帯でも使用されるのである。
その結果、文法書では、半過去と対比されるのは複合過去になり、単純過去は文語でしか用いられない例外として扱われることになる。

大過去 j’avais chanté半過去 Je chantais
(大過去)複合過去 J’ai chanté
前過去 il eut chanté(文語のみ)単純過去 il chanta

繰り返しになるが、過去の時間帯での複合過去(現在完了)の使用は、フランス語の時制体系の中で、唯一の違反例である。それは、過去時制において、「過去の今」が半過去と単純過去で分担され、単純過去が「歴史」の語りでしか用いられないことから来ている。
過去の時間帯で、「談話」の語りにおいて出来事を表示するため、複合過去の使用がなされるのである。

フランス語の時制体系 その2 フランス語独自の時制:単純過去」への2件のフィードバック

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google フォト

Google アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中