1892年にボードレールの記念碑が建立される計画が持ち上がり、その資金を調達するために詩人を追悼する詩集が企画された。参加を求められたマラルメは、若い頃に多大な影響を受けたボードレールへの敬意を込めて「オマージュ(Hommage)」と題したソネ(14行詩)を執筆、その後、自分の詩集に再録した際、題名を「シャルル・ボードレールの墓(Le Tombeau de Charles Baudelaire)」に変更した。
オマージュであるこの詩がボードレールの詩的世界を反映しているのは当然のことだが、音的にも、ボードレールという名前の最初の文字である B の音が詩句の中にちりばめられている。題名の中でTombeauのボの音がBaudelaireのボの音と響き合うところから始まり、詩句の至るところから B(audelaire)が顔を出してくるのだ。
他方で、ボードレールを超えようとする意図も込められている。14行の詩句の中で句読点が一つも用いられないことは、形式的な次元での刷新に他ならない。
第1詩節では、悪(le Mal)から美(beau)を抽出するボードレールの「詩的錬金術」に焦点が当てられる。
Le Tombeau de Charles Baudelaire
Le temple enseveli divulgue par la bouche
Sépulcrale d’égout bavant boue et rubis
Abominablement quelque idole Anubis
Tout le museau flambé comme un aboi farouche
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