
1580年、モンテーニュは、『エセー(Essais)』の最初に「読者へ(Au lecteur)」と題した前書きを付け、自分について語ることが16世紀にどのような意味を持っていたのか、私たちに垣間見させてくれる。
現在であれば、自己を語ることはごく当たり前であり、日本には私小説というジャンルさえある。
それに対して、モンテーニュは、自己を語ることの無意味さを強調する。
そして、彼が書いたことは彼自身のことなので、他人が読んでも時間の無駄だと、読者に向かって語り掛ける。
出だしから、読むなと言われれば、読者は当然読みたくなる。
次の時代のパスカルも、18世紀のルソーもモンテーニュの熱心な読者だし、現代のフランスでも読者の数は多い。
16世紀のフランス語は現在のフランス語とはかなり異なっているので、多少綴り字などを現代的にしたテクストで、「読者へ」を読んで見よう。
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