枯葉 feuilles mortes autumn leaves

「枯葉」は、どんなジャズマンも取り上げるスタンダード・ナンバーの一つ。
原曲は、フランスの有名な詩人ジャック・プレベールの作詞で、曲はジョゼフ・コスマ。1946年の映画「夜の門」の挿入歌として、イヴ・モンタンによって歌われた。
フランス語の「枯葉」Feuilles mortesは、かつて愛し合っていた恋人が、人生の中で静かに別れ、消え去っていくという、とてもロマンチックな歌詞を持つ。
その歌がアメリカに渡り、autumn leaves(秋の葉)になった。秋の木の葉が散り始める時、夏の日の口づけが終わったことを告げられ、寒い冬が予告されるという内容。

エディット・ピアフが英語とフランス語で歌っているヴァージョンがあるので、両方の歌詞を知るにはもってこい。

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ボードレール「美への賛歌」 Baudelaire « Hymne à la Beauté »

「美への賛歌」« Hymne à la Beauté »。
この魅力的な題名を持つ詩は、私たちに、ボードレールの詩的世界に続く美の扉を開いてくれる。

7つの詩節からなる「美への賛歌」の第一詩節で、詩人は「美」の両義的な側面に戸惑い、こう問いかける。

Viens-tu du ciel profond ou sors-tu de l’abîme,
Ô Beauté ? ton regard, infernal et divin,
verse confusément le bienfait et le crime,
Et l’on peut pour cela te comparer au vin.

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中原中也「寒い夜の自我像」 人間の弱さと詩情 

人間は誰でも弱さを抱えて生きている。その弱さを自覚をしたとき、肩肘を張って強さを装うのか、押しつぶされて自己嫌悪に陥るのか、見ないようにして逃げようとするのか。対応はいろいろある。

中原中也は「寒い夜の自我像」の中で、どうしようもない弱さを前にして、どうにかこうにか折り合いをつけようともがく。その自分の姿を言葉で描き出しながら、そこに詩情を生み出している。

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「美」に恋する詩人、「美」に愛された詩人 ボードレールとランボー

恋愛をするとき、二人が愛し合っているようにみえても、愛する側と愛される側の間に、暗黙の上下関係がある。
相手にあこがれ、愛されたいと願うか、相手から愛され、その愛に応えるか。

詩人と美の関係にも同様のことがいえる。美に恋い焦がれる詩人は、美を追い求める。美に愛された詩人は、美をどんな風に扱っても平気でいる。

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聖ヴァレンタイン

2月14日は聖ヴァレイタインの日( la Saint-Valentin)。イタリアのテルニという街で行われるミサの様子などが、ニュースで紹介されています。

https://www.francetvinfo.fr/societe/saint-valentin/fete-qui-etait-saint-valentin_3188571.html

2月14日は聖ヴァレイタインの日( la Saint-Valentin)。
イタリアのテルニという街では、聖ヴァレイタインが亡くなった2月14日に(mort un 14 février)、地元の子ども(l’enfant du pays)として盛大に(en grande pompe, en faste)お祝いするそうです。

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バッハとジャズ ジョン・ルイスの「プレリュードとフーガ」

バッハの曲はジャズと相性がいい。
だから、室内楽を思わせる端正な演奏が特色のモダン・ジャズ・カルテット(MJQ)を率いていたピアニスト・ジョン・ルイスが、「平均律クラヴィーア曲集」を取り上げたのは、自然なことかもしれない。

Vol. 1
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