スタジオ・ジブリの高畑勲監督が制作した「かぐや姫の物語」の映像表現は、「動く線」を最大限に活かした作品。
ディズニー・アニメの現実的な映像とは反対に、手書きの絵の雰囲気を最大限に活かしている。
投稿者: honuzim
線の表現 Expression en ligne
絵画の中で、線は様々な表現をする。
直線、曲線、折れ曲がった線。それらを使うことで、物の形をしっかりと表したり、スピード感を出したり、ユーモラスな感じを伝えることもできる。
最初に、ラスコーの洞窟の中に描かれた馬の絵を見てみよう。
馬の身体は穏やかな曲線で描き出され、ゆっくりと進んでいく様子を見事に捉えている。

ベルナール・ビュッフェの「サバーバン・コーヒー」に目をやると、直線の表現が街並みを鋭角的に描き出し、スタイリッシュな雰囲気を生み出している。

こうして二つの絵を見比べてみるだけで、線の表現の面白さを感じることができる。
続きを読むビル・エヴァンス ポートレイト・イン・ジャズ Bill Evans Portrait in Jazz
アルバムの題名は、ジャズで描いた肖像画。
ビル・エヴァンス(ピアノ)が、ベースのスコット・ラファロ、ドラムスのポール・モチアンと共に、9つのスタンダード曲を演奏し、1枚の絵画を描いたアルバム。
演奏の面白さはインタープレイにある。
ベースとドラムスがバックになってリズムを生みだし、ピアノが主役として全体をリードするわけではなく、それぞれの楽器がお互いの音を聞きながら、対話をしている。
スタンダード曲が多く収録され、聞きやすいけれど、しかし緊張感が溢れている。リリカルでありながら、力強くもある。
朝聞いても、夜聞いても、昼でも楽しめる。
マイルス・デイヴィス 1956年のセッション ジャズ入門に最適な4枚のアルバム

ジャズ入門に最適なアルバム。そして、どんなにジャズに親しんでも素晴らしいと思い続けられるアルバム。マイルス・デイヴィスが1956年の5月と10月に録音し、その後、4枚のLPとして発表された演奏は、まさにそうしたアルバムだといえる。
4つのアルバムに共通しているのは、最初に収録された曲と演奏の素晴らしさ。そして、その後に続く曲のヴァラエティ。スタンダート曲とオリジナル曲のバランス。スロー、ミディアム、ファストと色々なテンポの曲を織り交ぜてあり、あっという間に1枚のアルバムを聴き終わってしまう。
続きを読むイン・ア・センチメンタル・ムード In a sentimental mood
デューク・エリントンが1935年に作曲した曲。歌詞はマニー・カーツ。
ジャズの名曲であり、ほとんどのジャズ歌手が歌っているといってもいいくらい。その中でも、エラ・フィッツジェラルドの歌が最もよく曲想を伝えている。
ボードレール 「通り過ぎた女(ひと)へ」 Baudelaire « À une passante » 儚さと永遠と
「通り過ぎた女(ひと)へ」の中で、詩人は、雑踏の中ですれ違った女性を思い返し、もう二度と会うことはないであろう彼女に向けて呼びかける。

その女性が象徴するのは、一瞬のうちに通り過ぎる、儚く、束の間の美。一瞬の雷光。
同時に、その美は心の中に刻まれ、決して消えることはない。それは、永遠に留まる神秘的な美。
こうした、一瞬で消え去りながら、同時に永遠に留まるという美の二重性を、ボードレールはモデルニテ(現代性)の美と呼び、その典型をコンスタンタン・ギースの絵画に見出した。
「通り過ぎた女(ひと)へ」は、モデルニテ美学のエンブレムとなる、十四行のソネット。
続きを読むKG大学の紅葉 2019年12月
ランボー 「おお季節よ、おお城よ」 Rimbaud « Ô saisons ô châteaux… » 永遠から時間の中へ
「おお季節よ、おお城よ」は、『地獄の季節』の中心を占める「錯乱 II 言葉の錬金術」に収録された韻文詩群の最後に置かれた詩。
その直前に位置する「永遠」の後、再び「時間」が動き始める。
そして、ランボーは、「幸福」について思いを巡らせる。
6音節のリフレイン« Ô saisons (3) ô châteaux (3) »に挟まれ、7音節2行で構成される詩節が、幸福の魔力と魅力について、多様な解釈の余地を生み出す言葉となって、連ねられていく。
Ô saisons, ô châteaux !
Quelle âme est sans défauts?
おお、季節よ、おお、城よ!
どんな魂に、欠点がないというのか?
アミアンのノートルダム大聖堂のマッピング
アミアンにあるノートルダム大聖堂のマッピングは、その美しさのために、フランス国内でもよく知られている。

この色づけは恣意的ではなく、壁や彫像に残るほんのわずかな絵具を科学的に分析し、大聖堂が建造された当時の色を忠実に再現しているという。
続きを読む印象派の目 光と色彩

物に固有の色はない。
印象派の目は、物に光が当たる波長で色彩感覚が変化することを見抜いた。
印象派の画家達の目は光を捉え、彼等の筆は光を描いた。
ルノワールの「ぶらんこ」の中心は、ぶらんこに乗る少女や彼を取り巻く3人の人物ではなく、彼等の服や地面一面に当たる光の形に他ならない。
その光によって、物の色彩も変化する。例えば、後ろを向いた男性の服はブルーと思われるが、光が当たる部分は白に近い。
私たちは物の色を概念的に見ている。例えば、この服はブルー、というように。しかし、実際には、光によって色が変わる。
ルノワールの絵画は、画家の目に見えるままを描いているのだ。
こうした印象派的な目を持つと、世界はこんな風に見えてくる。
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