動詞と名詞 概念と具体化

文を作る要素の中心は、動詞と名詞。
多くの場合、動詞は活用され、名詞には冠詞などの限定詞が加えられて、文の中で機能を果たす。
では、活用や冠詞などはどのような役割を果たしているのだろうか。

Danserという動詞の原形(活用しない形)は、踊るという意味の概念を示している。
livreという名詞は、本という概念を示している。
概念は一般的な意味であり、現実の事象を表現しているのではない。

実際の事柄に言及する場合には、動詞を活用し、名詞に冠詞などを付けて概念を具体化する必要が出てくる。

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ハウルの動く城 歩くことと家族の形成

「ハウルの動く城」は、公開時から人気を博し、観客動員数では「千と千尋の神隠し」に続いて2位になった。その一方で、批評はかなり厳しく、「ストーリー、とくに後半のストーリーがわかりにくい」、「盛り上がりに欠ける」、「分からないからつまらない」など、映画の評価としては過去最低だった。

確かに、見ていると楽しいけれど、映画全体を通して何を言いたいのかわからない。ストーリーを思い出すのが難しいほどだし、たくさんの謎がある。
ソフィーがおばあさんになったり、若返ったりする理由。
城の扉にある四色のボードと外の空間の関係。戦いの意味。
ハウルは誰と戦い、何のために戦っているのか。
なぜ城が動くのか。等々。

そうした中で一貫しているのは、「歩く」というテーマだろう。歩くことが、ハウルとソフィーの恋愛を成就させ、全ての混乱を収束させる力になる。

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万引き家族 言葉と現実

「万引き家族」は、親の死亡届を出さず、年金を不正に受給していた家族の実話に基づき、是枝裕和監督が家族のあり方を考えた映画だという。(wikipedia)

現在、実の親による子どもの虐待が度々ニュースで報じられる中、血の繋がらない大人と子どもが集まり、家族のように暮らす人々を描いたの映画。

家族は血が繋がっていると考えるのが普通の考え方。血縁関係にない人々がいかにも家族のように暮らしても、疑似家族にしかならない。家族のまねごと?

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日本語の主観性

日本語はウチの言葉であり、お互いが同じ共同体にいることを前提としている。
https://bohemegalante.com/2019/04/17/japonais-langue-interieure/

そのことから二つの特色が派生してくる。
1)モノローグ的言語
2)臨場感

池上嘉彦の『日本語と日本語論』の助けを借りて、この二つの点について考えてみることにする。

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ジブリ・アニメ(宮崎駿監督作品)の中の自然

ジブリのアニメの中で、自然が大きな役割を果たしていることはよく知られている。そこで、日本における自然の概念と合わせて、「風の谷のナウシカ」「となりのトトロ」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」「ハウルの動く城」を通して、宮崎駿監督の描く自然について考えてみよう。

宮崎監督は、「海外の記者が宮崎駿監督に問う、『もののけ姫』への四十四の質問」と題されたインタヴューの中で、アニメの中の自然はについて、次のように答えている。

現実の森を写生したものではなく、日本人の心の中にある、古い国が始まる時からあった森を描こうとした。(『ジブリの教科書10 もののけ姫』)

心の中にある森は、日本人の信仰とも関係している。

日本人の神様ってのは悪い神と善い神がいるというのではなくて、同じひとつの神があるときには荒ぶる神になり、あるときには穏やかな緑をもたらす神になるというふうなんですね。日本人はそういうふうな信仰心をずっと持ってきたんですよ。しかも、現代人になったくせにまだどこかで、いまだに足を踏み入れたことのない山奥に入っていくと、深い森があって、美しい緑が茂り、清らかな水が流れている夢のような場所があるんじゃないかという、そういう感覚をもっているんですね。そして、そういう感覚を持っていることが、人間の心の正常さにつながっているような気がしています。(・・・)それは一種の原始性かもしれませんが、人間が生きるために自然環境を保護しようという以前に、自分たちの心の大事な部分に森の持つ根源的な力みたいなものが生きている民族性でもあるんですよ。(『清流』1997年8月号)

そうした森や自然が、ジブリ・アニメの中ではどのように描かれているのだろうか。

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ノルマンディー上陸作戦

6月6日は、第二次世界大戦の最後、ドイツに占領されていたフランスが、アメリカを中心とした連合軍の助けによって「解放」される第一歩となった、ノルマンディー上陸作戦の日。
2019年は、75周年ということで、いろいろな報道が行われている。

その中で、Quotidienでは、1944年、ドイツと協力関係にあったヴィシー政権下のメディアが、上陸作戦をどのように伝えていたのか、当時の映像を紹介していた。

https://www.tf1.fr/tmc/quotidien-avec-yann-barthes/videos/zoom-disait-presse-collaborationniste-6-juin-1944.html

ドイツ占領下、連合軍の攻撃はテロ行為として報道された。その同じ行為が、戦後になると、解放のための英雄的戦いと捉えられるようになる。

フランスの大きな社会問題  夫の暴力で死亡する女性

Quotidienという番組で、夫の暴力で死亡する女性の数が、フランスでは非常に多いという話題を扱っていました。今年に入って、61人の女性が死亡しているそうです。

https://www.tf1.fr/tmc/quotidien-avec-yann-barthes/videos/mesures-d-eloignement-c-bidon-temoignage-de-laura-victime-de-violences-conjugales.html

フランス映画を見ていると、しばしば普通の人が非常に暴力的な場面に出会います。こうした面も、フランスの現実なのでしょう。

ネルヴァルの名刺(裏面) 「アルテミス」  Gérard de Nerval « Artémis »

アレクサンドル・デュマに渡した名刺の裏面に書き付けられた「アルテミス」では、オルフェウスによって暗示された神秘に関する、ネルヴァル的開示がなされる。
(名刺の表面に書かれた「エル・デスディチャド」を参照)
https://bohemegalante.com/2019/05/12/el-desdichado-carte-de-visite-nerval-endroit/

Apollon et Artémis

アルテミスは、ローマ神話ではダイアナと同一視され、狩りと月の処女神であるが、ギリシア神話の中では、ゼウスとレートーと間に生まれた子どもで、アポロンの双生児とされている。

名刺の表側の「私」がフェビュス(アポロン)であるならば、裏面にアルテミスの名前があることに驚きはない。

しかし、詩の内容は、ギリシア・ローマ神話とはかなり異質であり、謎めいている。「アルテミス」では、オルフェウス的詩人の神秘に関して、なぞなぞのようなゲーム感覚で詩句が展開する。

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6歳の抽象絵画の画家

2019年6月1日のフランス2、20時のニュースで、6歳で抽象絵画を描くドイツ人の子どもが紹介されていました。
色彩感覚が素晴らしいと思います。

https://www.francetvinfo.fr/monde/europe/allemagne/peinture-portrait-d-un-prodige-allemand_3470591.html

À l’âge où les enfants dessinent encore des maisons et des bonshommes, Mikail Akar, 6 ans, est déjà considéré comme un petit maître de l’art abstrait. Ses toiles se vendent près de 5 000 euros. Le jeune garçon a déjà des gestes précis et une assurance déconcertante. Lorsqu’on lui demande quel est son artiste préféré, Mikail ne se démonte pas. “Moi-même. Et sinon ? Jean-Michel Basquiat, Jackson Pollock et Michael Jackson“, détaille-t-il. 

ランボー「母音」 Rimbaud, « Voyelles » ボードレールを超えて  Au-delà de Baudelaire

「母音」« Voyelles»はランボーの詩の中でも傑作とされ、多くの読者を引きつけてきた。しかし、何度読んでも難しい。なぜこんなに難解な詩が高く評価されるのだろうか。

その魅力を知るためには、ランボーが目指したものを知り、一つ一つの詩句をじっくりと読んでみるしかない。

その試みに挑んだら、ソネを構成する14行の詩句の解説に、12,000字程度費やすことになってしまった。長い長い解説。。。

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