ルソーの夢想 自然との一体化 Jean-Jacques Rousseau et ses rêveries

ジャン・ジャック・ルソー(Jean-Jacques Rousseau, 1712-1778)は、最晩年に、『孤独な散歩者の夢想』(Rêveries du promeneur solitaire)という作品を執筆した。それは、自分の生涯を赤裸々に語る『告白』(1782-89)の後に書かれ、過去を振り返りながら、自己の内面の動きを綴ったものだった。

この作品の「第5の散歩」の章では、人々から迫害されたルソーが、スイスのビエンヌ湖(Lac de Bienne)にあるサン・ピエール島(île de Saint-Pierre)に滞在し、湖の畔で夢想にふける場面が描かれている。
そこで彼は、波の音と自分の心臓の鼓動が一つになり、至福の時を体験する。

それは、自己と自然が一体化し忘我に達する瞬間であり、その体験が非常に美しい文章で描かれている。音楽性も大変に優れていて、スイスの湖の畔に座る「私」の心の鼓動と波の動きが重なり合う波長が、文章のリズムによって見事に表現される。

湖の岸辺での夢想は、ルソーに甘美な喜びをもたらす。その様子は次のように描かれている。

夕方が近づくと、島の高いところから下り、湖の畔、砂浜の上にある、ひっそりとした場所に、好んで座った。すると、波の音や水面の動きで五感が固定され、波以外の全ての動きが魂から消え去る。そして、魂は甘美な夢想にふけるのだった。夜になったことにびっくりするまで、気づかずにいるほどに。

波が行ったり来たりし、その音が絶え間なく続き、時には大きくなり、絶えず耳や目を打った。水の動きと音が、夢想していると消えていく内面の動きに取って代わる。今ここに存在しているという感覚を、無理に考えてみなくても感じられることが、私にはうれしかった。

時々、短い時間だが、この世の事物は移り変わりやすいと、おぼろげに考えることもあった。波の動きが、そのはかなさのイメージだった。しかし、そうしたわずかな印象もすぐに消え去った。絶え間なく続く単調な動きが、揺り籠のように私を揺すり、魂が能動的に動かなくても、私を強く捉えたのだった。時間が来て、いつもの合図で呼ばれても、私はよほど努力しないと、そこから離れられなかった。

Quand le soir approchait je descendais des cimes de l’île et j’allais volontiers m’asseoir au bord du lac sur la grève dans quelque asile caché ; là le bruit des vagues et l’agitation de l’eau fixant mes sens et chassant de mon âme toute autre agitation la plongeaient dans une rêverie délicieuse où la nuit me surprenait souvent sans que je m’en fusse aperçu. Le flux et reflux de cette eau, son bruit continu mais renflé par intervalles frappant sans relâche mon oreille et mes yeux, suppléaient aux mouvements internes que la rêverie éteignait en moi et suffisaient pour me faire sentir avec plaisir mon existence sans prendre la peine de penser. De temps à autre naissait quelque faible et courte réflexion sur l’instabilité des choses de ce monde dont la surface des eaux m’offrait l’image : mais bientôt ces impressions légères s’effaçaient dans l’uniformité du mouvement continu qui me berçait, et qui sans aucun concours actif de mon âme ne laissait pas de m’attacher au point qu’appelé par l’heure et par le signal convenu je ne pouvais m’arracher de là sans effort.

http://clicnet.swarthmore.edu/litterature/classique/rousseau/promenade5.html

朗読(58秒から)

この詩的な散文を三つの部分に分け、分析的に読んでみよう。

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