音楽と身体の共鳴 

人間の身体の中の水分の量は、体全体の約60%と言われている。
水の中で誕生した最初の生命が、今でも一人一人の人間に受け継がれ、命の水が体の中に流れているといってもいい。

体内の水分は体液として循環し、体中に栄養を運び、皮膚に血液を循環させて汗を出すことで体温を一定に保ち、新陳代謝がスムーズに行われるための働きをする。体調の維持のために、スムーズな体液の循環は欠かせない。
しかも、コップを指で弾けば中の水が振動するように、体液も体内の器官も振動する。
それと気づかないけれど、人間の身体は常に振動し、振動しながら身体全体の調和を保っている。

体の外に広がる空間の中にも、振動しているものがある。それは、音。
音は物体が振動することで発生する。
その振動が空気の振動として鼓膜に伝わることで、人間は音として認識する。つまり、音とは空気中を伝わる振動なのだ。

そして、音には共鳴作用がある。
同じ振動数を持つものであれば、一方の振動が他方の振動を増幅したりする。
逆に、異なる振動数の二つの音の間では、共鳴は起こらない。

音楽が音から出来ていることを考えると、身体という振動体は、音の振動と共鳴することで音楽の影響を受けることが理解できる。

続きを読む

2021年1月1日 雪の摩耶山 

2021年元旦、青谷道をたどり、雪の積もる摩耶山に行ってきました。
旧天上寺跡、天狗岩、掬星台、現天上寺までの風景を、ハイドンのピアノ・ソナタに乗せてお届けします。

ピアノ・ソナタは、アルフレッド・ブレンデルの演奏。
https://bohemegalante.com/2019/12/02/haydn-piano-sonata-alfred-brendel/

言葉の誤解や行き違い

母語であれば誰でも読むことができるし、書くことができる。毎日会話をしているし、スマートフォンやパソコンに向かい文字を書いたり、メモを手書きで書くこともある。
読むことも書くことも、ごく当たり前の行為にすぎない。

しかし、自分の伝えたい内容が相手にそのまま理解されない経験は誰にでもあるだろうし、読んだ内容に関して人によって理解が違うという経験もある。
外国語であれば、自分の語学力不足を理由にすることができるが、母語となるとそうも言えない。

自分の言ったこと、書いたことが相手にうまく理解されなかったり、逆に相手の意図が理解できず、誤解することがあるとしたら、どこに問題があるのだろう?

続きを読む

プラトン 美を愛する者 L’Amoureux du Beau chez Platon 

プラトンは肉体を魂の牢獄と考えた。
魂は天上のイデア界にあり、誕生とは、魂が地上に落ちて肉体に閉じ込められることだとされる。
この魂と肉体の関係が、プラトンによる人間理解の基本になる。

それを前提とした上で、プラトンにおける美について考えてみよう。

天上の世界にいる時に美のイデアを見た魂があり、その記憶は誕生後も保持される。
地上において美しい人や物を目にすると、天上での記憶が「想起」され、それを強く欲する。
その際、感性によって捉えられる地上の美は、天上で見た美のイデアを呼び起こすためのきっかけとして働くことになる。

従って、プラトン的に考えると、ある人や物を見て美しいと感じるとしたら、それはすでに「美」とは何かを知っているからだ。逆に言えば、「美のイデア」を見たことがなければ、地上において美を求め、美を愛することはないということになる。

続きを読む

日本語 — 関係を測る言葉、関係を結ぶ言葉

日本語には面白い特色があるが、その中のあるものは、人間関係に影響を及ぼし、会話の中身そのものに直接かかわっている。

様々な場所で、人の噂話をしたり、芸能人ネタや恋バナで盛り上がり、時間を忘れるほどになる。
仲の良い友だちの間なら、人の悪口もいいネタになったりする。

もちろん、こうした話題はどんな言語でも話されるに違いない。
しかし、日本語には、こうした話題をすることで、ある目的を達しやすくする特色があるらしい。
『私家版 日本語文法』の著者、井上ひさしは、そうした特色を「自分定めと縄張りづくり」「ナカマとヨソモノ」と表現している。

結論を言ってしまえば、私たちがよくする会話は、ナカマ意識の確認と、もう一つ付け加えれば、自己愛の保証、その二つを暗黙の目的としているのではないかと考えられる。

続きを読む

日本人の幸福感 Sentiment du bonheur chez les Japonais

日本的な感性は、ごく身近にある、ありふれたものにも幸福を感じるよう、人の心を導く働きをする。

道を歩いていて、ふと目をやると、緑の葉に青や紫の実が見える。
そんな小さな美を目にするだけで、幸せを感じる。

こうした感受性は、古くからの日本的な世界観に由来しているらしい。

続きを読む

Carpe diem カルペ・ディエムの実践: 藤井聡太 美の体験 映画 習慣化

Carpe diemを実践する。
こう書くと、常に今を全力で生きることが求められ、疲れてしまうように思われるかもしれない。
しかし、思わず何かに集中して我を忘れている時は、誰にもあるだろう。
それは、何も意識せずにCarpe diemを実践している時だといえる。

そうした例を、いくつかのレベルでみていこう。

(1)藤井聡太棋聖の姿勢
(2)美の体験
(3)映画
(4)日常生活— 習慣化

続きを読む

Carpe diem カルペ・ディエム 今を生きる

Carpe diem(カルペ・ディエム)とは、ラテン語で、「今日という日(diem)を摘め(carpe)」の意味。
そこから、「今を生きる」とも言われる。

この言葉は、古代ローマの詩人ホラティウスの詩の一節に由来し、二つの意味に解釈されることがある。

(1)今を充実させて生きる。
その意味では、Carpe diemは、「今を生きる」ことを勧める格言と解釈できる。

(2)後先を考えるよりも、今のことだけを考える。
この場合、後先のことを考えず、今さえよければいいといった、短絡的で快楽主義的な考え方の表現として解釈していることになる。

実は、Carpe diemと似た表現がラテン語にある。
collige, virgo, rosas
摘め、乙女よ、バラを。
この詩句で摘むものは、日ではなく、バラの花。

では、美しいバラの花を摘む幸せを手に入れるためには、Carpe diemを、(1)か(2)の、どちらの解釈をする方がいいのだろう。

続きを読む

ジャズ クラシックをノン・ストップで 

自宅で仕事をするとき、BGMをかけている人も多いだろう。
そんな時、ジャズやクラシックを無料で聞き続けられるサイトがある。
ジャンル別だったり、楽器別、作曲家別など、自分の好みで選ぶことができる。

ジャズ
https://www.jazzradio.com/#popular

クラシック
https://www.classicalradio.com/#popular

続きを読む

ディオニュソスとアプロディーテ 神秘主義について その3

神秘主義は、現実と超越的実在世界(「雌猫アカの世界」あるいは「生」そのもの)との特別な接触に由来するといってもいいだろう。
https://bohemegalante.com/2020/01/21/monde-selon-la-chatte-aka-mysticisme/

その体験が神話として語られる場合がある。
1)死と再生の神話。
2)陶酔とオルギア

William Bouguereau, La jeunesse de Bacchus

2)陶酔とオルギア
陶酔状態においては、酒、薬物、愛欲などにより忘我(exase)の状態に入り、世界(他者)と私(自己)の自立性が消滅する。

宗教的な体験における、目に見えない超越的な存在と「私」との接触は、別の側面から見れば、「私」の存在を忘却することであり、自己からの解脱とも考えられる。

続きを読む