宮沢賢治 原体剣舞連 — 詩のリズム 1/3 舞手たちへの祈願

宮沢賢治の詩――彼自身の言葉に従えば「心象スケッチ」――の魅力の一つは、言葉のリズムにある。実際に声に出して読んでみると、そのことがよくわかる。

よく知られた「けふのうちに/とほくへいつてしまふわたくしのいもうとよ」(「永訣の朝」)という一節では、和歌の「五・七・五・七・七」という五つの音のまとまり(句)の構造を踏まえながらも、あえてその定型を崩し、「六/四/六/五/五」という独自のリズムを刻んでいる。

最初に「けふのうちに(6)」というやや長めの言葉を置き、続いて「とほくへ(4)/いつてしまふ(6)」と運ぶ。そして最後に、「わたくしの(5)/いもうとよ(5)」と着地させることで、心地よい韻律を生み出している。

こうした詩句のリズムにとりわけ敏感だった詩人・中原中也は、『春と修羅』(大正13年〈1924年〉)が出版された当初からの数少ない愛読者だった。そして、中也がとりわけ好んだ作品が、岩手県の郷土芸能である「剣舞(けんばい)」を題材とした「原体剣舞連(はらたいけんばいれん)」である。

この作品には、中也が賢治の詩を高く評価した理由でもある「民謡の精神」が濃密に息づいている。ここで注目したいのは、その「民謡の精神」の根底にある音楽的な側面である。詩句のリズムそのものが中也の耳を心地よく打ち、彼を惚れ惚れとさせたのではないだろうか。

その魅力を体感するために、まずは朗読を聞いてみよう。意味にはあまりこだわらないようにして、言葉の響きとリズムそのものに耳を傾けることで、この詩ならではの躍動感を味わうことができる。

基本となるリズムは、七拍と七拍を一組とし、その上にさまざまなヴァリエーションが加えられていく。

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宮沢賢治「心象スケッチ」の意味――Mental Sketch Modifiedと中原中也

宮沢賢治と中原中也は、現在でも人気の高い詩人であり、愛読者も多い。二人の詩人のつながりについても、これまでさまざまな考察が行われてきた。しかし、興味深いことに、二人とも生前はほとんど無名といっていい存在だった。宮沢賢治が出版できたのは、大正13年(1924年)の詩集『花と修羅 心象スケッチ』と童話集『注文の多い料理店』の二冊だけであり、中原中也が生前に出版した詩集も、昭和9年(1934年)の『山羊の歌』一冊だけだった。

たぶん宮沢は中原のことを知らなかったのではないかと思われる。他方、中原は『花と修羅』が出版された際にたまたま手にし、それ以来、愛読していたことが知られている。そして、中原が宮沢について書いた文章を読むと、宮沢賢治のすべての著作の鍵となる「心象スケッチ(Mental Sketch Modified)」がどのようなものなのかを、とても分かりやすく知ることができる。

その理由の一つは、二人の詩人が同じような感受性を共有していたことにある。しかし、それだけではない。大正時代に日本で大きなブームとなったアインシュタインの相対性理論に由来する新しいものの見方に基づき、当時の人々は、物理的な世界観と精神世界とを融合させた世界のあり方を探ろうとしていた。そのような時代的背景も見逃すことはできない。

そうしたことを頭に置きながら、中原中也が宮沢賢治について書いた短い文章を手がかりに、二人の詩作の根底に流れる基調低音の調べを探っていこう。

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