
天照大御神(あまてらすおおみかみ)について、一般の日本人はどのようなことを知り、どのようなイメージを抱いているのだろうか。
岩戸隠れのエピソードで知られる太陽の女神であり、伊勢神宮に祀られ、皇室の祖先神で、日本神話の中で最も尊い神である。多くの人は、おおよそこのような、やや漠然とした理解を抱いているのではないだろうか。
もしそうだとすれば、その背景には、日本神話が語られている『古事記』(712年)や『日本書紀』(720年)を、私たちが実際にはほとんど読むことがないという事情がある。その点において、日本の状況は、ヨーロッパでギリシア・ローマ神話が比較的広く読まれている状況とは、かなり異なっていると言えるだろう。
さらに、日本の神話を体系的に語った最初の書物である『古事記』や『日本書紀』についても、それらが誰によって、いかなる意図のもとに編纂されたのかは、十分に知られているとは言いがたい。『古事記』が日本語を漢字によって書き写した書物であるのに対し、『日本書紀』は漢文によって記された歴史書であるという基本的な違いでさえ、必ずしも広く共有されているわけではない。
その結果、日本神話の中心的存在とも言える天照大御神についても、どのような経緯で主神と見なされるようになったのか、また神話の中でどのような役割を担っているのかといった点が、深く考えられることのないまま、半ば自明のものとして受け入れられているように思われる。
もちろん、そのような理解の仕方であっても、知らないままで差し支えが生じるわけではない。しかし、知らないということに気づいてしまうと、つい知りたくなるのも人情である。そうした思いに導かれて、ここでは少しだけ、天照大御神について掘り下げて考えてみたい。
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