
プルーストの『失われた時を求めて』を読んでいると、巨大な建造物でありながら、内部は超精密に構成された文に感嘆する。だが、その一方で、常に息を詰め、集中力を保っていかなければ迷子になてしまいそうで、息苦しくなってくることもある。
そんな時、ふと、ランボーの『イリュミナシオン』の「文(Phrases)」と題されたいくつかの断片に目をやると、突然の解放感に捉えられる。
Avivant un agréable goût d’encre de Chine, une poudre noire pleut doucement sur ma veillée. — Je baisse les feux du lustre, je me jette sur le lit, et, tourné du côté de l’ombre, je vous vois, mes filles ! mes reines !
墨の心地よい味わいを生き生きとさせながら、黒い粉がシトシトと振りかかかる、僕の眠れぬ夜の上に。— ぼくはランプの炎を小さくする。ぼくはベッドの上に身を投げる。そして、闇の方に体を向けると、お前たちが見えてくる、ぼくの少女たちよ! ぼくの女王たちよ!
なかなか寝付けない夜(veillée)、部屋の闇がランプの煤でますます黒くなる。明かりをさらに小さくすると、暗闇はさらに深くなる。
この文を読むと、2022年10月26日に亡くなったピエール・スーラージュ(Pierre Soulages)の黒の絵画が思い出される。














