ボードレール「美」La Beauté

「美」« La Beauté »は、ソネを構成する十四の詩句全てを通して、美そのものが一人称で語っている。台座の上の女神の像が、下から見上げる人間に語り掛けているような印象。

ルーブル美術館に入ると、勝利の女神サモトラスのニケの像が大きな船の台座の上に君臨している。あのニケが私たちに語り掛ける姿を想像すると、この詩が実感できるだろう。

Je suis belle, ô mortels ! comme un rêve de pierre,
Et mon sein, où chacun s’est meurtri tour à tour,
Est fait pour inspirer au poète un amour
Éternel et muet ainsi que la matière.

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ボードレール「美への賛歌」 Baudelaire « Hymne à la Beauté »

「美への賛歌」« Hymne à la Beauté »。
この魅力的な題名を持つ詩は、私たちに、ボードレールの詩的世界に続く美の扉を開いてくれる。

7つの詩節からなる「美への賛歌」の第一詩節で、詩人は「美」の両義的な側面に戸惑い、こう問いかける。

Viens-tu du ciel profond ou sors-tu de l’abîme,
Ô Beauté ? ton regard, infernal et divin,
verse confusément le bienfait et le crime,
Et l’on peut pour cela te comparer au vin.

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「美」に恋する詩人、「美」に愛された詩人 ボードレールとランボー

恋愛をするとき、二人が愛し合っているようにみえても、愛する側と愛される側の間に、暗黙の上下関係がある。
相手にあこがれ、愛されたいと願うか、相手から愛され、その愛に応えるか。

詩人と美の関係にも同様のことがいえる。美に恋い焦がれる詩人は、美を追い求める。美に愛された詩人は、美をどんな風に扱っても平気でいる。

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