
清岡卓行の『手の変幻』(美術出版、1966年)に収められた「腕失われた両腕――ミロのヴィーナス」が高校の国語教科書にしばしば採用されていることから、「1/2」では、その文章に書かれている内容をできるかぎり綿密に読み解く過程を示してきた。それは、高校生だけでなく、一般の読者にとっても読解の出発点となるものだからである。
清岡卓行 ミロのヴィーナス 解読からリテラシーへ 1/2
しかし、読解はそこで終わるわけではない。
文章の内容を理解したうえで、その考え方や前提そのものを問い直してみることもまた、読解の重要な営みだからである。ここでは、そのような批判的な読みの力を「リテラシー」と呼ぶことにする。
現代社会では、さまざまな情報が絶えず流れ続けている。その中で、リテラシーを身に付け、言葉の背後にある前提や価値観を吟味し、一人ひとりが主体的に考える力を養っていくことが求められている。
リテラシーの第一歩となるのは、「疑う力」である。
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