情報操作の基本文法 — ロマンス詐偽・投資詐偽・霊感商法系の詐欺・架空請求詐偽、フェイクニュース、インフルエンサー

ロマンス詐欺・投資詐欺・霊感商法系の詐欺・架空請求詐欺といった各種の詐欺と、フェイクニュースやインフルエンサーを一列に並べると、一方は犯罪であり、他方は犯罪ではない活動であるため、同列に置くのは間違っていると思われるかもしれない。もちろん、健全な情報発信を行っているインフルエンサーも多く、これらを悪質性において同等とみなすわけではない。しかし、インターネットという仮想空間において、「感情を揺さぶり、受け手に情報を信じさせることで成立する経済活動」という点に注目すると、共通する情報伝達の仕組みが見えてくる。

そこでの「情報操作の基本文法」は、強い刺激によって感情を動かし、情報の真偽を検証するプロセスを省略させる心理状態を作り出すことである。そして、その結果として、情報の発信者と受信者の間に「閉じた仮想空間」が形成される。

その仮想空間の中で、発信者は、受信者が「真実性の錯覚」に陥るように導く。受信者は、心理的に外部からの情報を遮断し、発信者から与えられた情報以外を受け入れにくい状態に置かれる。

その空間は、あくまでもネット上の「仮想」でありながら、ネットの向こう側では「現実」とつながっている。そのため、発信者が利益を得る一方で、情報に動かされた受信者が、金銭を失ったり、犯罪に巻き込まれたりする事態に陥ることもある。

情報操作の基本文法を理解しておくことは、「真実性の錯覚」に導かれることを避けるための、有効な防衛策となるはずである。

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SNSからマスメディアへの情報拡散 — 大谷選手が熊本地震など3カ国の被災地へ100万ドル超えの寄付(?) — コタツ記事

大谷選手が熊本に20億円を寄付したという、出所不明でフェイクニュースと思われる情報が拡散したことについては、このブログですでに扱った。
「大谷選手ら熊本に20億円を寄付」と福岡県議会の高額海外視察 ―― 感情の消費から問題解決へ

その後、MLBアナリストのベン・バーランダー氏が14日(日本時間15日)、YouTubeとXで、大谷選手が、熊本地震を含む世界3カ所の災害への支援として、100万ドル(約1億6000万円)を超える金額を寄付していると聞いていると発信した。

I’m being told that once again Shohei Ohtani is stepping up for people and causes in need and is donating well over 7 figures to different organizations listed below:
– Venezuela Earthquake relief
– Canadian Wildfire relief
– Kumamoto Earthquake relief
All of his donations are going directly to those in need.
Incredible generosity from an incredible human being.

そして、前回の「20億円」情報とは異なり、今回は知名度のあるアナリストから発信された情報だったため、いくつかのスポーツメディア(日刊スポーツ、スポニチ、THE DIGESTなど)がバーランダー氏の情報を取り上げた。それらの報道は、バーランダー氏がそう伝えたという事実を報じたものではあるが、読者には、そこに書かれた寄付が実際に行われたかのように受け取られる可能性がある。

このことは、メディアとSNSの相互増幅を考える上で、重要なヒントを与えてくれる。

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フェイクニュース対策 — 受信・発信・プラットフォームの三極構造

2026年7月末に起こった熊本地震に関して、信じがたいほど悪意に満ちたフェイクニュースが溢れている。なぜこれほどまでに、と思わずにはいられないが、こうした状況はもはや現代病ともいえ、対処が極めて難しい。

そのことを私が痛感したのは、次のような経験からだった。
「大谷、20億円寄付」というニュースを取り上げ、裏付けとなる情報源が確認できず、フェイクニュースである可能性が高いことを指摘するとともに、情報源を確認する必要性を訴える記事を書いた。その記事への反応は、私のブログでは異例と言えるもので、わずか5日間で閲覧数が17,000回以上に達した。

その一方で、フェイクを鵜呑みにせず、事実確認の大切さを説く記事、たとえば「なぜ人は『事実』より『理由』を求めてしまうのか――陰謀論の心理学」は、掲載を始めた3月から現在(8月)までの5ヶ月間の累計で46回の閲覧にとどまっている。

5日間で17,000回と約350日で46回という数字の差は、フェイクニュース流通の現状と、フェイクを見分ける情報リテラシーを育てることの難しさを、何より雄弁に物語っているように思えてならない。

今回は、フェイクニュース対策について、情報を受け取る側と、それを発信する側という二つの側面から考えてみたい。
発信する側とは、フェイクを流す発信者だけでなく、その拡散の場となるプラットフォーム、そしてそれを運営する巨大IT企業も含んでいる。

私には、この問題は麻薬の消費者と密売組織の関係に、需要と供給が互いを強化し合うという点で、似た構造があるように見える。麻薬を常習する人間に麻薬をやめさせることは難しく、密売組織を摘発し撲滅することも難しい。
しかし、フェイクニュースには麻薬のような犯罪性がないだけに、その解決は一層難しいといってもいいかもしれない。

フェイクニュース対策の図解。受信、発信、プラットフォームの三極構造を示しており、情報の受け取りや発信、関連プラットフォームの重要性を説明している。

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「大谷選手ら熊本に20億円を寄付」と福岡県議会の高額海外視察 ―― 感情の消費から問題解決へ

「大谷翔平選手らが熊本に20億円を寄付した」という真偽不明の情報と、福岡県議会の海外視察が一般の通念を超えた高額だったというニュースが、2026年8月の初旬に流通している。

まったくつながりがない二つの情報なのだが、しかし、そこから考えてみたいことがある。まず事実の確認からしてみよう。

(1)大谷選手の高額寄付について

「大谷翔平選手らが熊本に20億円を寄付した」という、真偽の確認できない情報が拡散しているようだ。
この情報は、個人ブログやThreadsの投稿、あるいは「もう隠しきれない…」「米メディアが感服」といった扇情的なタイトルのYouTube動画で広まっているものに過ぎず、公的機関や報道機関による正式な発表・報道は一切確認されていない。

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「曇りなき目」のリテラシー  —  熊本地震のフェイクニュースから考える

地震など自然災害が起きると、救助や支援の情報が必要になる。ところが、2026年7月の熊本地震でも、それとは正反対の現象が起きたことが知られている。SNSには、被災者を助ける情報ではなく、フェイクニュースや陰謀論があふれたのである。

これは現代病ともいえるものだが、SNS上のフェイクニュースや陰謀論は、炎上することで金銭的な利益が得られることもあり、収束する気配を見せない。

しかし、問題の本質はデマそのものだけではない。デマを見抜く力を弱め、私たちを長時間SNSに留め置く仕組みである。逆に言えば、その仕組みに足を取られることなく、「おかしい」と直感できる情報リテラシーを養うことこそ、現代社会で最も重要な能力の一つなのである。

ここで、熊本地震に関して実際に拡散されたフェイクニュースや陰謀論の例を見てみよう。

— 実在しない住所での救助要請。
— 「母が店舗の倒壊で亡くなった」など、嘘の被害を騙った送金要求。
— 「電磁波」「震源の深さ」「地震雲」を持ち出し、人為的に起こされたものだとする人工地震説。
— イオンモール熊本の爆発は核兵器、ミサイル攻撃、外国人工作員のテロによるものだとする。
— イオンモール熊本には、ガスを燃料として発電し、廃熱も回収して給湯や冷暖房などに利用するガスコージェネレーションが設置してあった。
— 地震の予測的中アピール:「事前に場所を正確に的中させた」と主張。
— 震源は阿蘇山、阿蘇山が噴火した。
— 豪華寝台列車「ななつ星in九州」が脱線した。
— 「ライオンが放たれた」(2016年の熊本地震のデマを模倣)
— ボランティアのふりをした外国人窃盗グループが被災地に向かった。
— 「イオン爆発の瞬間」と称した動画を流し、「TikTok Lite」などの招待リンクを踏ませ、報酬を得ようとする投稿。etc.

一つひとつを見ると、ほとんどのものは荒唐無稽に思える。しかし、これらは実際にSNSで大量に拡散された情報なのだ。

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ポスト真実を克服するために

現在の最も大きな病理の一つは、ポスト真実と名付けられた状況だろう。

21世紀に入りインターネットでの情報が爆発的に増加した結果、現代の社会はポスト真実(post-truth)の時代に入ったと言われている。
ポスト真実とは、客観的な事実や真実よりも、自分の感情に合った情報、自分にとって都合のいい情報を信じる傾向が強まり、感情的な情報が社会のオピニオンの形成に大きな力を及ぼす現象を指す。
2016年にオックスフォード英語辞典が「2016 Word Of The Year(2016年を象徴する言葉)」と認定したことで、世界的に流通する用語になった。
https://en.wikipedia.org/wiki/Post-truth_politics

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